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野中

2015.10.10

山梨県にある 株式会社 野中 は製餡メーカー。これまではBtoBの商売が多く、直接表舞台にあがることは多くなかったそうですが、あんこ屋「野中」としての「手づくりぜんざい」などの商品が大好評。その現場に伺ってきました。

掃除の行き届いている製造現場は天井が高くて高い。そして、木造。

事務所と工場は国産材による木造建築。

手洗いに消毒にエアーカーテンにと、入口にたどりつくまでの準備を淡々とこなして、いよいよ現場の扉がオープン。明るい光が注ぐ広い空間、そして、見上げると「天井高いっ!」思わずそう口づさんでしまいました。

ここは木造による建物なのです。あんこづくりの現場は水を大量に使うので、木造の工場は必ずしも適していないそうですが、会長の発案で液体ガラスを木材に浸透させる方式をとって工場仕様にしているそうです。

液体ガラスを塗るのも社員が手掛けているんですよ。

えっ!かなりの量ですよね・・・

そうなんです。ぼくもひたすら塗っていました。
ほんと大変でした・・・でも、この空間心地いいでしょ?!

半日製造、半日清掃

そして、次に印象的だったのが綺麗なこと。とにかく掃除が行き届いています。そのことを伺うと、「半日製造、半日清掃なんです。製造にかけるのと同等に大切なのが掃除で、スタッフみなで共有しています」。

臭いには特に敏感になっています。

確かに、まったくイヤな香りがしないですね。

あんこの腐った臭いは最悪なんです。少しでも残さないように、基本は手作業で徹底的にしています。

手作業で?!

だから、相当掃除レベルはアップしていますよ!(笑)
そして、薬剤の臭いも避けたいので、泡のでるような洗剤も使いません。煮沸したお湯をばーっとかけながらが日常なんです。

今回ご案内いただいた野中雄也さん。

顧客との距離のとりかた

野中さんはお婿さんなんですよね?

そうです。元々はお酒の問屋に勤めていました。

へ〜

酒販店まわりをするんですけど、お茶飲んで世間話して帰ってくると、注文が入っている。そんな感じでした・・・

それって、普通の営業マンではないですよね・・・

社内でも異色でした。でも、無理やりに買ってくださいって押し付けるのも、気持ちよくないじゃないですか。お互いに。

でも、それでいけてしまうのがスゴイと思いますよ!
その時の経験が今に活きてることってありますか?

そうですねぇ〜。酒販店の立ち上げを任されたことがあったんです。よい商品をたくさん並べたつもりだったのですが、お客さんにぜんぜん来ていただけなかったんです・・・

おぉ。それは焦りますよね・・・

そうそう。それで流行に走って売れそうなものを並べ始めると悪循環になっていくんですよね・・・

実際には、どうしたんですか?

インチキソムリエになりました。

インチキソムリエ?!

そう。ご来店いただいたお客さんに「今日の夕ご飯は何なの?」って聞くんです。さすがにお酒の知識は持っていますから、「じゃあ、これなんかいいんじゃない?」って。

それって、インチキでなく、立派なソムリエですよ。

いやいや、そんな高尚なものじゃないんです。もっと庶民的。

だけど、野中さんっぽいですね。

先日も、うちの「ぜんざい」をお取り扱いいただいているスーパーさんに伺ってきたんです。

はい。

そしたら、そこに入っているパン屋さんから有機原料のあんこが欲しいって相談されたんです。

いいことじゃないですか!

でも、「今のあんこにご不満あるんですか?」って聞くと、「そうではない」と言われるんです。だったら、今お取引をしている製餡所さんに相談するのがいいですよ。ってアドバイスしたんです。そして、あんパンにするだけでなくて、量り売りしたらいいですよって。横で同行していた問屋さんは驚いていましたけど・・・

驚くというより怒ると思いますよ。普通は。
営業しに行っているのに何で他社を薦めてるんだって。

でも、なんかこんな感じなんですよね。

面白すぎて話が尽きないような気がしますので、
そろそろ「あんこ」について教えてください。

あんこのつくり方

あんこに欠かせない原料が小豆。
この日もたくさんの小豆が運び込まれていました。

産地や品種によって大きさや色、手触りが異なります。

こしあんの小豆を煮る釜。粒あんに比べて大型。

小豆を水に浸して、一度水を捨てます。新しい水を注ぎ直して蒸気を入れる「渋きり」を行います。つまりはアクを取り除く作業です。そして、本煮込みに入るのですが、この「渋きり」の工程が大切だと野中さんは説明します。

小豆の青臭さがポイントで、実はこれがあんこの美味しさにつながっているそうです。多すぎてもダメだし、なくしすぎても本来の味にならないそうです。そのバランスを左右するのが「渋きり」の工程になるそうです。

「こしあん」と「つぶあん」は製法が違う

素人考えだったのですが、「こしあん」は「粒あん」をつぶしたものだと簡単に考えていました。ところが、小豆を煮る釜からして異なるのですね・・・。「こしあん」は煮る工程で小豆が多少潰れてしまっても問題ないですが、「粒あん」は小豆同士がぶつかり合って潰れないように小型の釜で注意深く扱う必要があります。

こちらは粒あんに使われる小豆を煮る釜。

重要なのは時間の短縮

あんこづくりで大切はことって何ですか?

時間の短縮だと思います。

時間の短縮?!
これまた素人考えだったのですが、じっくり煮込んだものの方が美味しそうというか、おばあちゃんがじっくり長時間煮込んでくれたものが・・・

おばあちゃん方式は、あれはあれで美味しいと思うんです。ただ、私たちが「かもしあん」と呼んでいるものなんですよね。

かもしあん?!

べっこう飴って、砂糖が焦げて色がついていきますよね。あれと同じで、おばあちゃん方式は茶色っぽくなると思うんです。

糖分が焦げて色づくということですね。

砂糖を焦がさないようにすると、あんこは黒くなります。さらに、高級とされるものは紫色に。

確かに高級なあんこっぽい。

それらを含めて、蒸す時間だったり煮込んでいく工程も、いかに時間を短縮していくかがポイントのように感じています。

粒あんの小豆の煮え具合を確認するために、この針金のような棒を差し込みます。煮物をつくるときに竹串を差すのと同じようなイメージですね。

これは煮あがった小豆を糖蜜に漬けこんだもの。甘くておいしい!

それらの分別作業。綺麗に煮られていないものが混じると雑味の元になるので手作業で取り除きます。

糖蜜への漬け込みはメッシュ状の容器に入れて行います。
あくまで小豆の形が崩れないように注意を払いつつ。

レトルト殺菌設備。高圧で殺菌処理することができる。

17時には業務が終了。

定時になると全スタッフが集まって打合せと試食をするそうです。品質のチェックという意味合いもありますが、部門間のコミュニケーションの場にもなっているそうです。原則は定時後の残業はしないそうで、その分朝早くから作業を開始する。「夕方は作業効率が落ちてしまいがちなので、定時から逆算して作業をスタートしています」と野中さん。

生あん。この段階では甘くなく、客先で最終加工することで最適な状態に仕上げていく。

客の数だけあんこがある

「例えばパン屋さんであれば、あんこと生地の相性が大切です。ハード生地とソフト生地では美味しく感じるあんこは異なります」。客先の使い方から最適な固さや色、味付けを逆算していき、小豆の磨き方から煮方などを調整していくそうです。

だから、全部のあんこが受注生産なのだそうです。生産されたあんこはそのまま出荷されていくし、毎日の生産内容も客先に応じて微妙に違いがあるそうです。

パンを送ってくださいと言いたい。

「先のパンの例であれば、よければパンを送ってくださいと言いたいんです」。それに合わせて最適なあんこを提案したいというのが野中さん流。大手メーカーの大量生産ではなく、少量の受注生産方式だからなせる業。

あんこ屋 野中としての商品がどんどん増えるといいなぁ〜。

このお店への直接のお問い合わせ

株式会社 野中

〒400-0053 山梨県甲府市大里町755-3
TEL 055-244-0378 FAX 055-244-0379
http://www.pinkrose.jp/nonaka/nonaka-index.html

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