攪拌(かくはん)

攪拌(かくはん)。つまり、かきまぜる作業は醤油造りに欠かせないもの。醤油造りで大切な工程「一麹、ニ櫂、三火入れ」。「二櫂」が攪拌を含む諸味管理(熟成)の工程を指しています。

手作業で行うとなると、相当な力作業・・・本当に重いんです。棒を引き上げるときも差し入れるときも・・・

醤油の諸味はこのように味噌を水っぽくしたようなものです。

桶で仕込む場合、約2メートルの桶だとこのような状態です。2メートルの高さの桶に2メートルくらいの棒を使うので、相当天井が高くなくてはいけません。

足場も安定しなかったり上り下りが大変だったりするので、多くの蔵では次の写真のように桶の上部に併せて床を貼っている場合があります。

桶の上に併せて床を貼っています。作業は楽なのですが、桶の修繕や移動させたい場合などは、床の解体からしなくてはいけないので、大変だったります・・・

攪拌(かくはん)と読みます。醤油造りに欠かせない工程であり、とても大切な作業です。この攪拌の目的は大きく二つ。空気を送り込むことと、カビの防止です。

攪拌の目的一つ目は空気を送り込むこと。

醤油は発酵調味料と言われている通り、酵母菌や乳酸菌などの微生物の発酵作用によってつくられます。微生物たちは活動に酸素が必要なタイプ(好気性細菌)と必要でないタイプ(嫌気性細菌)がありますが、好気性細菌は酸素がないと活動できません。酸素を送り込んであげることで発酵を助長してあげるわけです。

そして、二つ目の理由はカビの防止。

発酵と腐敗は紙一重ともいわれており、そのままにしておくと醤油の風味を悪くしてしまう白カビ(酸膜酵母)が発生してしまいます。諸味(もろみ)は高塩分なので大抵のカビは生き続けることがでず、かき混ぜることによって白カビ防止ができるのです。ちなみに、毒性のある細菌などが万一混入してしまっても、醤油諸味の高塩分下では死滅してしまうそうです。そして、万一人が諸味の中に転落してしまうと・・・直接害があるわけではないのですが、海水と同じ効果で、見事に浮くそうです!

*白カビである酸膜酵母は毒性のあるものではなくて、身近なところでいうと、梅干の表面に発生する白い粉がその仲間です。ただ、醤油に発生すると風味を悪くしてしまいます。

かい棒

攪拌の方法は、昔ながらだと写真のような「かい棒」で行います。ただ、この作業、想像以上の重労働。

棒の先端にかまぼこの板を大きくしたようなものが付いているのですが、その棒を押し込むのに力が必要。さらに引き抜くのに力が必要。2メートルを越える棒になると思い通りの位置で抜き差しするだけでも大変・・・

最近ではホースを使って諸味の下から空気を送り込む方法がとられています。空気が下から上がってきて表面に「ぽこっ」と出てくるイメージなのですが、実際には「ぼこぼこ」出てくるくらいにしないといけないので、諸味が飛び散ってしまい掃除が大変だったりします・・・

回数が多ければいいわけではない。

かき混ぜる作業は単純なようで奥が深いなぁと感じています。醤油を仕込んだ最初と中頃、そして終盤とでは当然のように攪拌頻度は異なってきますし、さらには、蔵によっても頻度は違います。頻繁に行う蔵もあれば、長期間行わない蔵もあります。同じ蔵であっても桶によっても違いがあるそうです。

微生物の個性はその蔵によって違いますし、その年の気温の変化も変わるので、それに応じて上手に調整してあげる必要があるわけです。多くても少なくても美味しい醤油にならない。生き物と向き合っているわけなので、当たり前といえば当たり前なのですが・・・

つまるところ、職人の腕の見せ所ってわけです。

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