種麹(樋口松之助商店さん)

塩麹などで麹という存在が少し身近になっていると思います。醤油も味噌も日本酒にも麹は欠かせない存在だし、日本の食の根底を支えているといっても過言でない麹。でも、そもそも麹とはなにか?微生物である麹菌が穀物(米や麦や大豆)に繁殖した状態のもので、研究施設をもっている大手メーカーは独自培養をしています。ただ、多くの醸造メーカーは「種麹」を買っています。そして、その種麹を製造しているメーカーは全国で6つほど。その一つ「樋口松之助商店」さんに伺ってきました。

種麹メーカーの歴史はまだまだ浅いそうです。種麹を買う流れは明治中期から昭和の初期にかけてで、造り酒屋は比較的早く、次いで味噌、そして最後に醤油。それまでは自然界にゆらゆらしている微生物が入るのを待っていたり、前年の麹を保管しておき使ったり。(共麹/ともこうじ)。ただ、この方法だと安定しなかったり雑菌も混じってしまったりと・・・そこで登場したのが種麹の専門メーカーというわけです。

どうやってつくるのか?試験管で培養するのかと思いきや、製造工程としては見慣れているような工程。米や麦を蒸して、そこに種麹をつけて繁殖させる。そして乾燥させて、ふるいにかけて粉状にする。(ふるいにかけない状態で商品にするものもあり。)大切なのは純度。他の菌が入らないように純粋な菌だけを繁殖させること。隔離された空間で人の干渉を少なく。繁殖させている空間は企業秘密。

どの工程が一番大切か?と質問。繁殖させる工程と答えが返ってくると予想・・・していたのですが、「最初の蒸し工程」と即答。水分を適切に調整して麹を綺麗に付けることができれば、後の工程もスムーズにいく。やはり最初が大切。ある程度自動化させているけど人による作業差がどうしても出てしまう。几帳面な方だとそうなるし大雑把な方だとそうなる。このあたりも醤油造りと通ずる部分があって面白い。

一口に微生物といってもその種類は様々。醤油づくりに適している麹菌や、日本酒づくりに適している麹菌がいるわけなのですが、醤油であればオリゼーとソーヤが有名。アスペルギルス・オリゼーなんて呼ばれています。醤油業界全体ではオリゼーをつかっているメーカーが多いとのこと。ちなみに、キッコーマンはソーヤ。色が赤くなる特徴があるそうです。「何が違うのですか?」と質問すると、麹のつくりやすさとのこと・・・

例えば、麹づくりの中で温度管理は重要で、高くなりすぎてしまうと麹が死んでしまいます。この温度は麹自身が高めてくるのですが、ソーヤの場合はジワジワ上がってきて、急にどかんと上昇する。ここの管理が難しいとのことでした。帰りがけに寄った奈良県の片上醤油さんに伺うと、「濃口・溜はソーヤを使って、淡口はオリゼーを使っている。」ソーヤは麹が水に浮きやすい気がする。いろいろつかっている蔵元は少ない。日本酒や味噌は全部を麹にしない。醤油は全量麹。だからソーヤの方が向いているのでは?!

引き続き片上醤油さんの言葉。「種麹メーカーは醸造メーカーにとって二人三脚どころか醸造業界を支えている存在。よい麹をあらゆるところから集める努力をしているので、相当多くの引き出しをもっていますよ!種麹メーカーなしに日本の醸造はないんじゃないですかね!」

その技術は進歩するというか、麹菌自体は進化するものなのか?その辺りを伺うと、「限りなく純粋な種麹をつくることに努めています。そして、消費者のニーズにあわせた麹菌を提供できるようにしているんです。」消費者ニーズとは?例えば、味噌の販売でいうと、昔は味噌屋さんの店先で山盛りにしてある味噌から量り売り→今ではプラスチックのパックに入ったものが並んでいる。すると、見た目の「色」が重要になってくるようなこともあるそうです。同様に、日本酒もその時代によって好まれる味があるわけで、醸造メーカーと消費者の望むことを感じながらというわけです。

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