あたり前の積み重ねをどこまでも

小笠原味淋醸造(愛知県碧南市)

愛知県碧南市に小さなみりん蔵があります。原料米は100%国産のものを使い、麹づくりは手作業で、加熱処理をしない生詰めのみりんです。「こだわり」と表現するのは嫌いだ、と小笠原さんはいいますが、その理由とみりんの魅力とが重なっているように感じてしまうのです。

圧搾の様子。

よい香りに包まれている製造現場

はじめて訪問したのは5月の快晴の日でした。小笠原味淋では2月の最後から3月にかけて仕込みがスタートします。麹づくりから60〜70日を経た後に圧搾し、さらに熟成させたものがみりんになりますが、訪れたその日、工場の奥の方では何かしらの作業をしている物音が聞こえていました。

一枚づつ積み重ねていく。

綺麗に丁寧に

「ちょうど搾りの作業をしているんですよ」と小笠原さん。みりんの醪がまっ白な袋に注がれています。午前中に200枚、午後に100枚の合計300枚が淡々と積み重ねられていく光景に思わず見入っていて、ふと、とてもよい香りに包まれていることに気がつきました。

小笠原和哉さん。

それは、あたり前のこと

小笠原さんは今までに出会ってきた職人の中でも一番の直球派かもしれません。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと表情も言葉もはっきりしています。現場が綺麗ですねと伝えると、一切表情を変えずに「あたり前です」という返答が返ってきました。「人様の口に入るものを作っているのですから」といい、新しいスタッフに最初に教えることは手洗いだそうです。

みりんの醪(もろみ)。いい香り。

醪を引き出すためのポンプ。小さな部品までピカピカ。

不眠の作業

麹づくりは48時間かけて行いますが、その時の原料や環境によって同じ状態にはなりません。3時間毎に麹の様子を見守るために、事務所の椅子が仮眠場所だったといいます。「60歳を目前に、ようやく室のくせが分かるようになってきました」と、最近は少しだけ長めに眠れるようになっているそうです。

「こだわり」は嫌い

同様に原料も製法もこれならいいと納得できるレベルを追求している姿に、周囲からは「こだわり」や「究極」という表現で紹介されることも多くなっているそうです。ただ、このような表現は好きではないと小笠原さんはいいます。

「そんなこといわれるとプレッシャーですよ。ぼくは普通にしたいんです。頑張るのは苦手だし、できる事なら遊んでいたいです。けど、やらなくてはいけないことはやっているつもりです。苦労はしています」。この飾らない直球の言葉が小笠原さんの本音のように感じます。

みりんのしぼり粕。これだけ食べても美味しい。

きれいなのはあたり前

みりんの原料は米です。仕込みの時には少なくない量の米が床に落ちてしまうことは想像できます。小さな隙間につまってしまうことも当然あるはずですが、その痕跡をみつけることが一切できませんでした。相当しっかり意識をして作業と掃除をしないとこうはならないはずだと思います。

道具や設備もすべてがピカピカです。金属の部分やホースなどのゴムの部分など、一度分解して細かいところまでしっかりと磨き込まれています。でも、小笠原さんにとっては頑張っているのではなく、やって当然、あたり前というのです。

みりんの本分

そのまま飲んでも、その甘さとうま味にうっとりしてしまうのですが、「みりんは表にでるとまずいんです」と小笠原さん。料理の前面にでるのではなく、陰から素材をしっかりと活かすことがみりんの本分だと、特に力を入れて強調していました。

砂糖と酒があればみりんは不要という意見も耳にしがちですが、だし:みりん:しょうゆ=4:1:1でめんつゆと作ってみてと薦めてくれました。本当にみりんが不要かどうか、これを味わってから判断してくれと伝えるかのように。

まずは一口飲んでほしいみりん

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一子相傳

そのまま口にすれば甘いリキュールのよう。原材料は100%国産米、国産本格焼酎をベースに加熱処理をしていない生詰味醂。

価格 : 476円+税
原材料 : もち米(国産)、米こうじ(国産米)、焼酎(国産米)

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国産のもち米を使って3年熟成

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みねたから

国産のもち米と米こうじを使って3年熟成。醸造アルコールがベースで焼酎独特の香りがなく素材のよさをしっかり活かしてくれる。

価格 : 476円+税
原材料 : もち米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール

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この蔵元への直接のお問い合わせ

小笠原味淋醸造

〒447-0814 愛知県碧南市弥生町4-21
TEL:0566-41-0613  FAX:0566-41-0623
http://www.ogasawara-mirin.jp/

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