百年先を見据えて桶づくりも手掛ける

ヤマロク醤油(香川県小豆島)

「孫の代に桶仕込みの醤油を残すのが夢」と話す山本康夫さん。百年後を見据えるなら自分たちで桶をつくれるようになろうと地元の大工さんと共に桶から手掛けています。醤油蔵が密集する小豆島で、「奥座敷」と表現される程に辿り着きにくい立地。ただ、一度ここを訪れた方はヤマロクの大ファンになって帰路につくはずです。

どうしても行きたい醤油蔵

予約なしで見学OK。見学用に用意されたものではなく、そのままの現場を丁寧な説明とともに見ることができます。昔ながらのシンプルで時間をかける醤油づくりと、別次元とも思えるくらいに薄暗く静まり返った蔵が出迎えてくれます。

そして、醤油を味わうと誰かに自慢したくなってしまう・・・その話を聞いた人が小豆島を訪れる。この繰り返しでいつも見学者で賑わっています。ただ、そこに安住することなく常に挑戦し続けているところがヤマロク醤油らしさだと思います・・・

ヤマロク醤油は大通りに面していません。細い道を探検気分で進んでようやく到着。いつ行っても見学可能です。「ここまで見せてくれるの?!」と驚く方も多いくらいに隠すものが一切ない蔵元です。

全てが木桶仕込み。百年以上使われている桶もあります。むしろ、ほとんどがそうです。「人が入ってくると発酵が活発になることもあるんですよ!人の気配が分かるんでしょうね!」と山本さん。ただ、活発になる方とならない方がいるらしく・・・

蔵に足を踏み入れて驚くのが桶に住み着く「菌」たちの姿。乳酸菌や酵母菌といった醤油造りに欠かせない菌たちが桶の外にまでびっしり。これ程までに菌に包まれている桶はそうそう目にすることはできません。

小豆島の地理的条件もあると思いますが、湿度が低く風が通り抜ける蔵の内部。イヤな香りがなく、し〜んと静まり返った蔵の中には特別な時間が流れているよう。

中古ではだめ。新桶じゃないとだめなんです。

「ボクは職人じゃないですよ!蔵の菌たちが職人なんです!」と山本さん。「醤油は人がつくるんじゃない。菌が造るんや。人はその手助けをちょっとするだけだ!」が先代の口癖だったそうで、その考えはしっかりと受け継がれているようです。

木桶にこだわる理由は正にここにあって、その菌たちが木桶でないと住み着くことができないからです。「中古の桶を試したことがあるのですが、前の蔵元の菌が住み着いていて、同じようにはなりませんでした・・・」

だから、新桶じゃないとだめなんです。

2009年10月24日 新桶7本が到着

ただ、これは醤油業界に携わっている人なら「えっ!?」と思うことなのです。今の時代に桶からプラスチックタンクに替えたという話は聞いても、新桶を入れることは非常に珍しいことです。桶職人の上芝さんは「そうそうあることじゃあない!それも7本同時にだからね。」と言います。

この桶は百年以上使われます。つまり、山本さんの孫の代まで使い続けられる予定なのですが、「自分が今、使っている桶は何代も前の先祖が残してくれたもの。孫の代に桶仕込みの醤油を残すために逆算をしていくと、このタイミングで新桶を入れておかないといけなかったのです。」

これから百年使われる予定の新桶。祈祷を終えると地元の方を招いて餅まき。一口サイズの餅は、その場で焼いて醤油を付けて・・・

2012年2月 桶修行のために大阪へ

ただ、次なる課題が出てきました。桶は百年近く使うことができるのですが、箍(たが)がはずれたり、醤油が漏れてしまった等、修繕が必要になる場合があります。さらには、この桶が使えなくなる百年後はどうするのか・・・という問題です。

国内で醤油を仕込むような大桶を組めるのは大阪の堺にある藤井製桶所しかありません。数十年先も頼れる保証がないのであれば、自分たちで技術を習得しておくしかない。そう考えて地元の大工さんと共に桶修行にでかけたのです。

箍(たが)を編むための竹の削りから、側板のつくり方と組み立て方。道具も特殊な上に曲線をつくる作業は本当に難しい・・・

桶に箍を入れ込む作業は繊細な力作業。緩すぎると漏れの原因となり締めすぎると入っていかない・・・

2013年9月 いよいよ自分たちだけで桶づくり

桶づくりに使う道具は特殊なものが多く、板材の切断の仕方や箍に使う竹の調達など一つ一つ準備を進めて2013年9月に自分たちだけでの桶づくりにたどり着きました。

作業開始直後からトラブル続き。「やっぱり無理なんじゃないか?!」と何度も思う場面がありましたが、4日かけてようやく完成。後日、出来栄えを確認しに来た師匠からも、「上出来だ!」と太鼓判を押され一同ほっと胸をなでおろしました。

一度体験しているものの、そう簡単に事は運ばない。最初からトラブル続き・・・

ようやく桶の形らしくなって鉄のワイヤーで仮どめ。

師匠は一人で編みますが、今回は四人がかり・・・竹が折れないように慎重に。

ハンマーでひたすら叩く。男四人が全力で打ち下ろして数センチ下がる程度。

底板を入れるのも一苦労。フォークリフトと人力でなんとか所定の位置に。。

六代目予定の康蔵くん。右手に炭をたっぷりつけて・・・

長男が醤油屋、次男が桶屋になってくれたらいいなぁ

新桶をフォークリフトで持ち上げて、底の裏の部分に「新桶一号」の文字を書き入れました。その横には将来のヤマロク醤油六代目(予定)の康蔵くんの手形も。

「孫の代に木桶仕込み醤油を残したい。」その想いで今できること、すべきことに挑戦しているヤマロク醤油。山本家の子供たちにとっては醤油屋という職業はカッコいいものとして映っているにちがいありません。

小豆島の醤油

小豆島観光に欠かせない醤油蔵

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鶴 醤

深いコクとまろやかさの極限までの追求。約2年の熟成期間を経た生醤油を、さらに2年間ほど仕込む。ステーキにあわせると肉本来の味に出会えます。バニラアイスにも◎。

価格 : 428円+税
原材料 : 大豆、小麦、食塩

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黒大豆原料であっさりとキレが共存

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菊 醤

旨み成分の強い大粒の丹波黒豆を使用した、高貴な香りとキレのある旨みの正統派。あっさり目の味と端麗な色が特徴の木桶仕込み。卵かけご飯をぐっと引き立てます。

価格 : 428円+税
原材料 : 大豆、小麦、食塩

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この蔵元への直接のお問い合わせ

ヤマロク醤油

〒761-4411 香川県小豆島郡小豆島町安田甲1607
TEL:0879-82-0666  FAX:0879-82-1293
http://yama-roku.net/

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