木桶仕込みの蔵
越後味噌醸造|Echigomiso
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_18.jpg)
2019年8月16日(金)
毎年、お盆の交通ラッシュのニュースと共に
決まって流れてくるのは台風のニュース。
いい加減、連休をずらせばいいのにと思うのは
少し勝手な考え方であり、
ご先祖さまも何かと忙しいだろうし、
そう簡単にスケジュールをずらす事は難しいのかもしれない。
数日前に新潟県内で40度を超える場所もあった中、
その日も少し前に降った雨のせいで蒸し暑かった。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_17.jpg)
越後味噌醸造。
新潟県は燕市吉田にある味噌蔵を訪ねた。
実は私自身が隣町の出身であり、
高校卒業まで近くにいたにも関わらず、
自分が木桶に興味を持って調べる最近まで
この蔵の事は全く知らずにいた。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_16.jpg)
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_8.jpg)
蔵の中を歩いていると、
この日の気候も相まってか、
じっとりとた空気に菌たちの息遣いをより感じた。
この日案内をしてくれたのは、
マネージャーの高久さんと醸造部の安藤さん。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_9.jpg)
もともと出版社に勤めていた安藤さんは、
越後味噌醸造前社長の
とてつもない木桶への愛情に感化され入社を決意。
初めて木桶を見たときに、
蔵にドーンとある姿に圧倒されつつも
大きいけどどこか温かみのあるその姿に
何かこみ上げてくる気持ちがあったという。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_13.jpg)
その言葉にならないような思いは、
自分が初めて小豆島で木桶を見た時に同じような体験をした。
蔵には使っていない木桶もかなりの数あるようだった。
また、数年前まで木桶の補修も自分たちの手で行なっていたようだ。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_14.jpg)
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_11.jpg)
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_12.jpg)
しかし、今は補修をできる人もいなくなり、
調子が悪くなると以前働いていた方に頼み、
見に来てもらっている。
改めて考えると、
自分たちが使う道具を自分たちで調整する、
そんな当たり前の事が出来ない現状や、
さらにその補修が出来る方の高齢化など、
これから先の不安がない訳ではなかったが、
安藤自身もその技術の習得へ前向きだ。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_10.jpg)
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_15.jpg)
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_7.jpg)
元々、この辺りの豪商である
今井家が創業したこともあり、
”何代目”のような家系として
引き継がれていくのとは違う継承の仕方だった。
今風に言えば、”雇われ社長”が軸となり
それぞれの時代を受け継いできた。
いわゆる会社としての蔵と
そこにある木桶という形に、
なんとなく継承が途絶えやすそうな
脆さを覚えたのはなぜだろう。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_6.jpg)
自身のご実家も味噌と醤油の蔵元である
マネージャーの高久さんは言う。
「(継承が)代々ってところは本当は逆に幸せですよね、
本人も少なからず下の代に
残していこうっていう意識はあるし、
実際に自分もある。
だけど、こうゆうところはそれがない。
それが、いいのかどうか分からないけれども。」
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_3.jpg)
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_4.jpg)
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_2.jpg)
もちろんすべての企業や
蔵元にも当てはまることではないし、
自分の勝手な思い込みが
少し行き過ぎただけだなと思った。
「一番(この蔵に居るのが)長いのは木桶さんですよ。」
と、お2人は笑いながらも、
「自分たちの代で歴史は作っていける。」と言っていた。
そうやって1771年の創業から繋がってきたのだ。
![](https://s-shoyu.com/wp-content/uploads/2019/09/koba_echigo_1.jpg)