木桶仕込みの蔵

鳥居食品

日本人に愛される味を追求するトリイソース

「ソースはお酢なんですよね」と鳥居大資さん。醤油は塩味とうま味を添えるもので、ソースは酸味とうま味を添えるもの。そう考えるとソースの見方が変わってくるかもしれません。

住宅街の中にどーんと姿をあらわすトリイソース。

打ち出の小槌とお稲荷さんに囲まれて

静岡県浜松市。大通りから小道に入ると「トリイソース直売所」と書かれた看板が出迎えてくれます。その横の工場の壁面にはシンボルマークの「打ち出の小槌」、そして、町内のお稲荷さんが並んでいます。

縁起のよい雰囲気を感じながら、目線を反対に向けると・・・

そこにはスタイリッシュな建物。トリイソースの直売店です。

ドアを開けるとさらにびっくり。
老舗のソース屋さんのイメージではないですね。木材の風合いと照明が綺麗にマッチしていて、商品がバランスよく綺麗にディスプレイされています。

三代目の鳥居大資さん

ソースをもっと日本的に進化させたい

  • ソースに醸造を取り入れられないですかね?
  • おっ!いきなりすごい話題ですね。
  • ソースは野菜などを煮込んでつくるため、
    醸造とは無縁の製法です。
  • 確かにそうですね。
  • ただ、日本人が好む味を突き詰めて考えていくと
    醤油や味噌など醸造というキーワドにたどりつくんです。
  • 醤油を嫌いな日本人は少ないですよね。
  • ソースは日本的な進化をしてきていると思うんです。ただ、ソースといえばB級グルメに使われるイメージも強いようにも感じていて、
  • たしかに
  • ただ、もっと日本人に愛されるソースに進化していくために発酵というところから、ヒントをもらえないかなと試行錯誤しているんです。
  • その視点おもしろいですね。
    ところで、ソースメーカーって日本に何社くらいあるのですか?
  • だいたい200社くらいです。
  • えぇ!予想より多いです。

  • 私見ですが、西日本にいくと甘くなり、
    東にいくとすっぱくなる傾向があります。
    静岡はちょうど中間ですね。
  • メーカーによって何が違うんですか?
  • 野菜の構成比率だったり、塩と砂糖の加減だったり、酢と香辛料のバランスだったりと、関わってくる要素が多いので、違いを感じていただけると思いますよ。

お酢づくりから自社で手掛ける

ソースに欠かせない原材料の一つが酢。これも自社で仕込んでいます。
そして、果実酢も同時並行でつくっていて、ちょうど梨を使った酢が仕込まれていました。果実に含まれている糖をアルコールにして、そのアルコールを酢酸発酵させて酢にしていきます。

ソースに使う酢をつくっている様子。酢酸菌が液面に繁殖して膜をつくっている。

ソースに使う酢も製造方法は同様で、地元の酒蔵の吟醸酒の酒粕を元にしてアルコールを抽出し、酢酸菌を繁殖させて2ヵ月かけて酢にしていきます。それを保管容器に移して寝かせておき、必要に応じて使っていきます。

広がるソースの香りと、野菜を刻む音。

ソースの製法は、
1)野菜を煮混んでミキサーでペースト状にする
2)酢、塩、砂糖、香辛料などで味付け
3)容器に移して熟成
4)ビン詰めをして完成

作業場に入ると、ソースのよい香りがふわ~と広がります。
そして、トントントンという音が・・・

この日も地元の生産者さんがつくるニンジンが包丁で刻まれていました。

使われる野菜は国産であることは大前提で、出来る限りの地産地消のものをと心がけているそうです。また、砂糖も鹿児島の種子島産粗糖(そとう)を使用。これらの情報はトリイソースのホームページしっかりと表記されています。

最適温度が異なる酢と香辛料

ソースは野菜を煮込んでつくっていきますが、高温でドロドロと煮込めばよいかというと、そうではないそうです。特に酢は高温になればどんどん揮発してしまいますが、低温すぎると香辛料がうまく馴染んでいかないのです。最適温度が異なる原材料同士のベストな関係を導いていくのが難しいわけです。

さらには、一言で香辛料といっても唐辛子や胡椒のように熱に比較的強いものもあればそうでないものもあるので、温度と入れるタイミングが大切なのだそうです。そこで香辛料を煮出す方式をとっています。

香辛料を袋にいれて漬け込むイメージなのですが、「急須でいれたお茶と粉茶をイメージしていただくと分かりやすいと思います。急須のお茶はインパクトは少ないけど、すーっと入ってくる。粉茶は味がストレートだけど苦味も残る」と鳥居さん。

ソースづくりに桶が使われている

ここで登場するのが桶です。醤油では仕込みに使われる桶ですが、ソース屋さんでお目にかかれるとは・・・という驚きです。

出来上がったソースは一度この桶の中に入れられます。そして、瓶詰めされる分だけが再び引き出されます。つまり、継ぎ足しソースのような感覚で、新たに注がれてから出ていくまでに平均すると2か月くらいをこの中で過ごしているそうです。味の均一化と代々のうま味が凝縮されていく熟成の時を過ごすのです。

さらには新桶も並んでいます。プラスチック製のタンクよりもコストはかかりますが、「やっぱり木桶がいいんだよね」というスタンスが素敵です。

充填も手作業で丁寧に行われてようやく完成です。

さらに愛されるソースづくりを目指して

「香辛料が本当に必要でしょうか?」と鳥居さんは言います。

「昔は確かに臭み消しという要素があったと思うんですよ。豚肉などの素材があって、それに対応してソースがあったはずです。だけど、今の時代は素材の臭みってあまり目立たなくなってきましたよね。素材が変わってきているのだからソースも変わって当然だと思うのです」。

鳥居さんの話の端々から、日本人に愛されるソースを追求する姿勢が伝わってきます。ソースにとことん向き合って、小さな改善の積み重ねが今のトリイソースになっていて、そして、これからもずっと続いていくのでしょうね。

このお店への直接のお問い合わせ
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