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木桶職人復活プロジェクト
[1] はじまり

2012.01.28

香川県は小豆島に一軒の醤油蔵があります。
ヤマロク醤油の山本康夫さんが島を出るのは年に数日あるかないか・・・
毎日毎日、醤油たちと向きあう日々を送っています。

ここ小豆島は「ひしおの郷」とも呼ばれ、醤油蔵が密集している土地。
多くの観光客が醤油蔵にも訪れているのですが、
ヤマロク醤油には、なかなかたどり着くことができないのです。

山本さん自身が「奥座敷」と表現する程に、
奥まったところに位置し、迷った末に諦めて帰ってしまう方もいるとか・・・

いざ到着すると、「えっ、こんなところまで見せていただけるのですか?!」という反応が多いくらい丁寧な説明と、桶で仕込んでいる諸味(醤油を搾る前段階の状態)を間近で見学することができます。

一度、ここを訪れた方はたちまちファンになり、
その話を聞いた方からの「絶対に行きたい蔵」という呼び声が高いことでも有名です。

そんな山本さんの想いは息子・孫の代に木桶仕込み醤油を残すこと。
蔵の修復も微生物の生態系を壊さないように、数年かけてゆっくりじっくり行い、
ずっと先々の事を考えて新桶も購入。
ただ、考えれば考えるほど一つの問題に行き当たるわけです。


誰がこの桶の修繕をするのか・・・?!


山本さんの決意のもとスタートした「木桶職人復活プロジェクト」。
2012年1月10日〜12日。地元の大工さん2人とによる桶修行。
私も参加させていただいた3日間を、これから10回にわたり記したいと思います。

以下が、山本さん自身がfacebookに綴った文章です。ぜひ御覧ください!

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醤油・味噌・酢・味醂・酒の業界で、木桶による醸造が多く残っているのが醤油と味噌の業界ですが、醤油や味噌の生産量の1%未満というのが現状です。現在、醸造用の木桶を製造できる桶屋さんは、大阪の堺市にある「藤井製桶所」1社のみとなりました。

現在使われている醸造用の木桶は、戦前に作られたものがほとんどです。今から50〜100年後にはほぼ全ての木桶が使えなくなっています。そうなると、本物の木桶仕込みの醤油・味噌・酢・味醂・酒が消えて無くなります。これは日本食の基礎調味料の本物が無くなるという事なのです。

我々が生きている間は大丈夫ですが、墓場に入った後の子や孫の世代の問題です。子や孫の代に「本物の日本食の基礎調味料」を残せるかどうかは、桶屋さんが残るかどうか、桶屋の技術が後世に受け継がれるかどうか、にかかっているのです。自分たちが墓場に入った後の問題ですが、タイムリミットはすぐそこに迫ってきているのです。

今、我々が動かなければ、日本の食文化の基礎が崩れてしまいます。そこで、小豆島の男気のある大工、坂口直人・三宅真一の両名と、私ヤマロク醤油の五代目山本康夫が木桶職人を目指して修行することとなりました。昨年の秋より活動を開始し、大工の坂口が11月下旬に藤井製桶所で修業し、竹箍の編み方などを習得してきました。現状は木桶についての勉強や、竹箍の編む練習をしております。そして、来週は3人で藤井製桶所にて修行し、新桶の製作に取り組みます。

出来るかどうか考えるより、まずは行動です。藤井製桶所さんから指導していただきながら、我々3人で新桶を組上げる予定です。数年後の独り立ちを目標に日々精進してまいりますので、皆さん応援して下さい。

木桶職人復活プロジェクト コラム一覧

この文章を書いた人

高橋 万太郎

職人醤油 代表。2006年に職人醤油の取り組みをスタートし、
これまでに訪問した醤油蔵は全国400以上。(株)伝統デザイン工房 代表取締役。
ブログ : http://www.mantaro.jp/

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