醤油の知識

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醤油を使い分けると楽しい/醤油の種類による使い分け

白身と赤身、おいしい醤油は?

刺身や寿司は、醤油が大きく活躍する場面の一つです。ただ、多くの方はあまり意識せずに醤油を使っているかもしれません…。

白身と赤身の魚では素材の味わいや食感、生臭さの感じ方も異なります。繊細な味わいが特徴の魚に、濃厚な醤油をかければぜんぶが醤油の味になってしまい、せっかくのやさしい味わいはすべて吹き飛んでしまうはずです。

  • 素材に最適な醤油、もっとおいしくできる醤油があると思います!

醤油を6つに分類してみると

最も流通量が多いのは濃口醤油で、一般的な醤油がこれです。ここを基準に熟成期間の短い醤油(白・淡口)と、熟成期間の長い醤油(再仕込・溜)に分けてみます。

  • 醤油の中で最も色の淡い琥珀色をした醤油。炊き込みごはんやお吸い物など彩り豊かな仕上がりに。
  • 西日本でお馴染みの淡い色の醤油。煮物やお吸い物など素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。
  • 九州や北陸などでは一般的。海沿いの地域ほど甘みが強いなど、それぞれの土地に根付いた醤油。
  • 一般的な醤油で、流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
  • 熟成期間の長い濃厚な醤油。醤油で醤油を仕込む製法で、濃口醤油に比べて2倍の原料と2倍の期間を要する。
  • 大豆を主原料に仕込水を少なめにしてうま味を凝縮させた醤油。熟成期間も長く独特の香りを有することも。

一般的には、こんな使い分けだと思います

調理用とかける用で醤油を使い分ける地域もあると思います。ただ、関東などではすべてを濃口醤油1本でまかなうために、醤油を使い分けるという発想そのものがないかもしれません…。

  • 西日本では調理には淡口醤油、かけるときは濃口醤油と、ご家庭に醤油が複数本あることも多いはず!

この基準だと、よりおいしいはず!

調理用と思われがちな白醤油や淡口醤油をかけて使うことを、ぜひおすすめしたいです。塩やレモンやオリーブオイルをかけて食したい素材に使ってみてください。

スイカに塩をかけると甘くなる原理のように、素材そのものをより魅力的に味わえます。

一方、ソースや香辛料をかけて食したい素材には、濃厚な醤油である再仕込醤油や溜醤油がおすすめ。素材の生臭さなどを抑えるとともに、素材と醤油のうま味が一体になるマリアージュを楽しめます。

白醤油と淡口醤油

見た目は淡くてしょっぱさの強い醤油です。調理に使うと素材の彩をきれいに活かしてくれるので、だし巻き卵やお吸い物にはぴったりです。

そして、塩やレモン代わりにかけて使うのもおすすめです。白身のお刺身や冷奴など、素材そのものを味わうことができます。

甘口醤油と濃口醤油

調理にも、かけても万能に使えるのが濃口醤油です。一般的に普通の醤油とされるのがこのタイプ。そして、九州などの甘い醤油を甘口醤油としています。甘味料を加えているタイプで好き嫌いが分かれるかもしれません。

そして、醤油のおいしさの重要な要素の一つが香りです。開栓をすると空気を触れることでどんどん酸化が進みます。できるだけ早めに使い切っていただくように。目安は開栓後1ヵ月です。

再仕込醤油と溜醤油

熟成期間の長い色が濃くて味わいもしっかりしている醤油です。ソースや香辛料と合わせたい素材におすすめです。

赤身の魚や脂身の強い肉と醤油と素材の一体感を楽しめるはず。赤ワインとあわせたい料理に使っていただくイメージです。

白ワインか赤ワインか、でも判断できる

同様に、白ワインと合わせておいしそうな素材、ムニエルや白身フライ、冷奴など塩やレモンをかけて食したいものには、白醤油や淡口醤油の相性がよいと思います。そして、赤ワインと合わせたい素材、脂身の強い肉や味の濃い肉じゃが、照り焼きかば焼きなどには再仕込醤油や溜醤油がおすすめです。

「この料理は白ワインかな?赤ワインかな?」が、どの料理にどの醤油をあわせるべきかの目安にしていただけると思います。

調理でも醤油を使い分けると新しい発見があります

写真は東京のお寿司屋「酢飯屋」さんと行ったイベントの写真です。アナゴを6種類の醤油を使って同じ条件で煮ていただきました。見た目が大きくことなることはもちろん、味わいもかなりの差がでました。

このイベントでは、参加者の方が食べ比べをして好みの醤油を選んでいただきました。結果としては白醤油と淡口醤油が人気だったのですが、多くの寿司屋さんでは濃口醤油より濃い醤油を使っていることが多いはずです。

実際に試して、食してみると、思いがけない発見と、この素材にはこの醤油があう!という新しい組み合わせが見つかると思います。