小豆島の醤油蔵は仲がいい
醤油屋の関係性
一般的に醤油屋同士は仲が悪いと感じています。もちろん、面と向かっていがみ合っているなんてことはなく、地域の会合では仲良く酒を酌み交わしているはずです。
ただ、お互いの製造現場に入って、醤油づくりの深い話をしたことがあるかといえば、そのようなコミュニケーションがとれる醤油屋は少ないように感じます。
考えてみれば、一昔前は同じ商圏でライバルとして競争していた関係です。お互いの現場には立ち入ってはだめとか、製造の立ち入った話をするのは失礼にあたるなどの暗黙の前提があるのかもしれません。
醤油の郷 小豆島
一方で、醤油屋同士の団結の強い地域もあって、その代表格として思い浮かぶのは香川県の小豆島。20軒弱の蔵元が密集していて、醤油の郷としても有名な地域です。
そして、蔵元同士の協力体制も他の地域では見られないものがあります。蔵同士の物理的距離が近いからできることなのですが、麹を共同でつくったり、ビンを共同購入して洗瓶して分け合ったりと、お互いにメリットのある協力体制を持っています。
大消費地に協力して出荷
これには歴史的な背景もあるように感じています。水運が活発だった時、小豆島は船の中継地点になっていて、例えば九州からの船が小豆島を経由して大阪に向かっていました。
大豆や小麦の原材料を運んできて、醤油に加工して大阪に販売することができました。醤油業が発達をしていきます。すると、同じ小豆島の中で顧客を奪い合う関係ではなくて、大消費地に向けて出荷をするために協力体制を作った方がお互いにとってメリットがあったはずです。