胞子とは
胞子は麹菌の種
植物でいうところの種子。麹菌が子孫を残すために生み出すものが胞子です。麹菌は繁殖をするなかで菌糸を伸ばしていき、その一部に球状の細胞をつくります。これが胞子で、発芽して次の命に繋がっていきます。
麹をつくるときにふりかける種麹はほとんどが胞子のことで、麹づくりが終わるころに舞い散る黄色の粉状のものも胞子です。胞子が成長してまた次世代に向けて胞子をつくります。
胞子の認識の今と昔
麹づくりの終盤、胞子がたくさんつくられると細かい粉状になり、出麹の時には空間全体が黄色に覆われてしまうこともあります。この胞子をたくさん吸い込むと人によっては発熱してしまうほどで、大抵はマスクをしての作業になりますが、マスクが真っ黄色になるとよく耳にします。
胞子については昔と今では認識が異なるようです。昔は胞子がたっぷりとついたもの=よい麹とされていたこともあったそうですが、研究が進んだ現代においてはいかに胞子をつけずに麹をつくるかを目指しているメーカーが多いように感じます。
胞子をつけたくない理由
胞子をつくること=麹が子孫の残すための手段なので、麹にとって不快な環境になると胞子をつくりだしやすい傾向にあるようです。
また、そもそもの麹をつくる目的は分解酵素を得るためです。見た目にも胞子が見えるようになる=酵素の生成のピークを越えた目安として、昔の人は判断していたのかもしれません。一方で、大量の胞子は諸味や醤油の色を濃くする要因にもなるので、胞子がでる直前で麹を仕上げたい、そう考えるつくり手が多くなっているようにも感じます。