醤油 比率(醤油÷米)
1710年 70文 51文 1.37
1730年 60文 22文 2.73
1751年 65文 37文 1.76
1808年 47文 37文 1.27
1893年 9銭 7銭 1.22
1905年 32銭 13銭 2.46
1918年 44銭 33銭 1.33
1927年 72銭 38銭 1.89
1936年 50銭 31銭 1.61
1944年 77銭 54銭 1.43
1950年 79.06円 66.75円 1.32
1961年 146.61円 127.50円 1.28
1970年 206.00円 228.00円 0.9
1980年 244.00円 485.25円 0.5
1990年 264.00円 561.15円 0.47
2000年 226.00円 546.15円 0.41

醤油のイメージとして「高級品」と答える人は少ないと思います。

滋賀県にある遠藤醤油の遠藤善和さんは醤油づくり50年を越える大ベテランの職人さんなのですが、「私らが子供の頃は醤油一升が散髪代と同じくらいだったもんだ・・・」といわれていました。

醤油と同様に日本人に欠かせない米の価格と比較してみると面白いことが見えてきます。醤油一升と米一升の値段を比較していくと、1960年くらいまでは米より醤油の方が高いのですね。

醤油は装置産業といわれるけど・・・

醤油は装置産業だといわれることがあります。大きな装置・設備を整えれば、それに伴って成果・収益が期待できる産業ということですが、醤油の作り方は時代と共に変化しています。

物流の発達していない時代。液体である醤油を運搬することはとても大変だったので、それぞれの土地に醤油蔵が存在。

トラックが出現すると運搬方法が変わります。小さな木桶を山盛りに積んだ写真が、歴史のある醤油蔵には必ず保管されていると思います。(中には、建物の2階に達するのではと思うほどの写真も!)

そして、戦後の物資難の時代になると、「食べるものがないのに、大豆を1年間も熟成させるのはもったいない!」というのが外国の主張。「いやいや、これは伝統なんだ!」と醤油造りを守ったのが、大手メーカーを筆頭にした当時のつくり手たちの功績。そして、戦後の近代化政策の一環として、地域ごとに最新設備を兼ね備えた工場をつくる動きが出てきます。

どちらが良い悪いではなく

今では大型の工場でつくられた醤油と、小さな蔵でつくっている醤油が共存しています。どちらが良い悪いではなく、双方に特徴と、メリットとデメリットがあると考えています。大切なのは、「どんな醤油なのか?」を選択いただくことだと思っています。逆をいうと、ほとんどの方が醤油を「選んで」購入していないということ。その選ぶための情報も不足していると・・・

特売!しょうゆ

1970年代以降、米の価格はぐいぐい上昇していくのに対して、醤油はそれほどではないわけです。

製造設備の近代化による生産性の向上など様々な要因があると思いますが、流通段階における競争も大きな要因だったと思います。今でもスーパーのチラシなどを見ると「特売!しょうゆ」というのは日常的だと思います。日常生活に欠かせないものだからこそ、特売の目玉商品になり、特売価格が実勢価格になってしまった・・・

「スーパーで醤油が水よりも安く売られていた・・・」

こんな光景をみると、造り手はとても悲しい思いになるといいます。