065|諸味の櫂入れ
前回、酵母添加から発酵までを書きましたが、
今回は発酵期の諸味管理(櫂入れ作業)について書きます。
見学に来られた方から、「諸味は毎日混ぜるんでしょ?」とよく聞かれます。
実際のところ発酵期の撹拌頻度は、作られているメーカーさんによって様々だと思います。
僕が知っている所でも、発酵期に毎日撹拌されている所もあれば、そうでない所もあります。 うちでは発酵初期は間隔短く、酵母がしっかり増殖した後は間隔を長くして行っています。(段階によって2日~5日の間隔)
初期は酸素を沢山送り込んで菌数を増やし、その後は嫌気的な状況でアルコール発酵を促す。 というイメージで、そうしています。 ただ、間隔を長く空け過ぎると産膜酵母が増殖したり、酵母の菌数が急速に減少したり しそうなので、(諸味内部は嫌気的で徐々にアルコール濃度も高くなるため) その辺は日々諸味の様子を伺いながら、という感じです。
(あくまで僕が現時点でそうやっているというだけで、1・2年後には違うやり方になっているかもしれません)
<撹拌前>

櫂を入れると、発酵によって溜まった二酸化炭素がプツプツと勢いよく跳ね上がります。

<撹拌後>
ガスが抜けて諸味のかさが下がりました。

桶の側面に残った諸味は、ヘラで綺麗にそぎ落とします。

下の写真の左は元々の状態で右がヘラでほどこした後です。
産膜酵母という、香りを悪くする酵母はこういった側面の諸味なんかに寄生しやすいので、 その増殖を防ぐ意味で行っています。(防ぐというより遅らせるという方が正しいかな)

この作業は僕がお世話になった岡本醤油さんで行われていて、 道具のヘラも岡本さんのを参考にして、自作しました。
