002|わたしと、たまり醤油のこと。

こんにちは。
山川醸造の山川華奈子です。
前回から職人醤油さんで木桶やたまりのコラムを書かせていただいています。

みなさんは、たまり醤油を使ったことがありますか?

先日、東京でぽんずづくりのワークショップをした際にこの質問をしてみたところ、「使ったことがない」という方がほとんどで驚きました。 一方で、その一週間前に自社で開催した「たまりや蔵開放」では、 「お刺身にね」「濃いのがおいしいよね」と、 多くの方がうなずいてくださったんです。

たまり醤油は、東海地方で主につくられてきた地場調味料。
同じ質問でも地域によってこんなに反応が違うのかと、改めて実感しました。

わたしの味の基準は、子どものころからたまり。 我が家にあるのは、たまり醤油とうすくち醤油、白醤油。 一般的な家庭で濃口醤油を使うような料理も、たまりで味つけしています。

そんなわたしにとって、少し前まで濃口醤油は 「たまりよりしょっぱくて、うすくちより色が濃い」 ちょっと使いづらい存在でした。

でも、木桶職人復活プロジェクトで他の蔵元さんと出会って、その印象ががらりと変わりました。
濃口にも、軽やかなもの・ずっしりしたもの・まろやかなものなど、 本当にいろんな味わいがあるんですね。たまりで味つけていた料理を 「木まじめで作るとどうなるかな?」「日々是好日だと?」と 試してみるようになりました。 同じ料理でも、味の表情が変わるのがすごく面白くて。

だから最近は、 みなさんにもたまりで作るいつもとちがう料理の表情を見てほしいと、おすすめの使い方を聞かれたときに我が家の定番料理もご紹介しています。

たとえば、「おばあちゃんの肉じゃが」。
見た目は少し地味ですが、たまりとお砂糖だけの味つけで、どこかほっとする味です。
よかったら、ぜひ一度試してみてください。

じゃがいも:5個(500g)
玉ねぎ:大1/2個
牛肉:100g
たまり醤油・長良:大さじ2
砂糖:大さじ3

(1)じゃがいもは乱切り、玉ねぎはくし切り、牛肉は一口大に切ります。

(2)鍋に水を1L入れて沸かします。沸騰したらじゃがいもを投入して茹でます。

(3)10分ほど茹でたところで、お湯を4割ほど捨てます。じゃがいもがひたひたになるくらいが目安。お湯を捨ててから玉ねぎと牛肉を加えます。

(4)少しぐらぐらさせてから、灰汁を取り除き、砂糖とたまり醤油・長良を加え、中弱火で10分ほど煮込みます。あとは味がしみ込むまでほったらかして完成です!