007│新桶の設置と仕込み前の準備
2月18日。新桶に仕込むたまり醤油の麹づくりが始まりました。
朝一番でボイラーに火を入れ、NK缶と呼ばれる圧力釜に蒸気を送ります。中に入っているのは岐阜県の大豆2トン。
上手く蒸せるかどうかがたまりの出来を大きく左右します。でも相手は農作物。それから、当日の気温なども影響して、同じ条件が揃うことなんて一度もありません。何度やっても緊張します。蒸している最中も、釜をあける瞬間も。
今回は、ほどよく粒感の残るいい蒸し上がりでした。
山川醸造のたまり醤油の麹は、大豆だけでつくります。蒸した大豆をミンサーのような機械でつぶし、そこに種麹をまぶして「味噌玉」と呼ばれる団子状にしていきます。種麹をつけた大豆は麹室(こうじむろ)に入れて約70時間かけて麹菌を育てていきます。

緊張する製麹(せいぎく)、新桶用がスタート。
この週、思いがけない出来事がありました。長年この工程を担ってきた専務が、体調不良で不在に。はじめて、専務抜きでの製麹になりました。
温度変化って、こんな感じだったっけ。1日目の夕方、なかなか上がらない温度にそわそわ。社長は「大丈夫やろ」と言うけれど、不安で、夜も何度も様子を見に行って。
翌日。やっぱり室の温度がいつもより寒く感じます。麹の香りは悪くないけれど、温度がちょっと低いのが気がかり。ひとまずストーブに給油して、送風機の温度センサーの位置を少し変えてみて。そうこうしているうちに、それが効いたのか、単純にタイミングが被っただけなのかわかりませんが、順調に温度も上がりはじめました。よかった……。

4日目の朝には、全体がほんのり黄色くなりはじめ、ちゃんといい麹に仕上がりました。いよいよ、仕込みです。
麹室から出した豆麹をすべて木桶の中に入れ、平らに慣らし、踏み固める。布を敷いて、重石をのせていきます。

たまりは仕込み水が少ないため、重石を使います。平たくて、ずっしり面で圧がかかる重石。できるだけ隙間がないように、ひょっとしたら隙間があっても問題ないのかもしれないのですが、できる限りきれいに、パズルのように。あーでもない、こーでもない、この形の石があったらいいのに。そんな話をしながら、随分と時間をかけて積みました。
この日は、途中から仕込みの様子をインスタライブで様子を流してみました。後日、「観てましたよ。」と言っていただき、一緒に見守っていただいていたことを知り、少し嬉しくなりました。

重石を積み終え、最後に塩水を入れて仕込みは完了です。
水だけのときとは違い、麹と重石の重さ、塩の影響もあって、どこかから漏れてもおかしくない状態。一周ぐるりと見て回ります。
どこも漏れていない。と思ったら、吞み口の付け根からほんの少しだけ滲んでいました。紙の巻き方、少し甘かったかな。これは仕込みが落ち着いたら付け直すね。
ここから2年。
いや、その先、100年。
「頑張ってね」と言おうと見上げた新桶が、もうすでになんだか頼もしく見えました。
これから一緒に頑張ろうね。
