醤油の知識

073|最適な諸味の熟成期間

写真の諸味は最初に仕込んだもので、現在「生成り、」として製品になっているものです。

現時点でちょうど2年半。諸味は1年目の夏、旺盛に発酵します。2年目の夏は、膨れますが一年目とは比較にならないくらい弱く、撹拌もほとんどしません。(うちでは)そして、はじめて経験する3度目の夏の諸味。写真が分かりにくいかもしれませんが、やはり少し膨れて表面にヒビが入った様子。櫂を入れると「ピチピチ」と諸味の中からガスが抜けてきます。

僅かながら、諸味の中では何かが生成されています。おそらく、諸味の中で長期にわたって生育すると云われる、熟成酵母によるものでしょう。今年の9月くらいには、夏を越した回数が1回、2回、3回の諸味が揃います。

この3つの諸味(醤油)を比較すれば、うちで仕込む醤油のベストな(自分の好みの)熟成期間が見えてきそうで、今から非常に楽しみなのです。



ちなみに、これは1年目の発酵期を迎えた昨秋仕込みの諸味。元気に発酵中です! 

城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元