職人醤油の蔵元

宮醤油店

「南房総といえば宮醤油!」になりたい

周囲の醤油メーカーが設備投資ブームに走った時、「たまたま」余裕がなくてできなかった。それが昔ながらの製法が残っている理由といいます。だからこそ、貫き通された品質とそれに向き合うスタンスはずっと健在のように感じます。

天保五年(1834 年) 創業。千葉県には昭和初期に400の醤油メーカーがありましたが、今では10軒ちょっと。「一番南にある醤油蔵になってしまった・・・」と宮社長。

質にはこだわりたい

うま味がつまってバランスの良い正統派の醤油。きれいな香りと濃すぎない色合いは同業者からも評価の高い醤油です。ただ、これを桶仕込みの天然醸造でこれを実現している背景には常に質にこだわってきた歴史があります。

そもそも麹づくりから自社で手がける醤油蔵は非常に少数です。「大手と同じ土俵で戦ったら絶対に勝てない。品質に集中して自分たちが正しいと思う醤油づくりをしています。」と宮社長は言いますが、大手メーカーひしめく千葉県にあって180年間続けてこれたのには、何かしら他の理由もあるような気がしたのです・・・

木桶が床から一段飛び出している構造。多くの醤油蔵は桶の高さちょうどに合わせて床が張られていますが、宮醤油では意図的に段差をつけています。諸味が床にこぼれることを防止し、床を常に清潔に保つために。
たくさんの微生物が住みつく蔵の中。「全てを含めて個性だけど、一度悪いのが住み着いてしまうと取り除くのは難しい。だから、雑菌を入れないことに注意しています。」
戦時中に物資が少なくても、品質へのこだわりは捨てなかったそうです。限られた制約の中でできるだけ良いものを・・・評判が評判をよんで終戦の時には諸味が底をついていたとか。

生協との出会いはこんなきっかけから

「何十年も前の話ですけど、商品の卸先である自然食品のお店が潰れてしまったんです。当然、債権者や関係者が店舗に残っている資産の差し押さえに集まるのですが、先代は見事に遅れて到着したそうなんです。」

「宮さん、こんなに遅く来ても何も残っていないよ!」といわれる始末。

「本当は悔しくて捨てセリフ的に言ったんだと思うのですが、『何をいっているんだ!今までお世話になっていたんだから、挨拶をしにきただけだよ!』って言ったらしいんですよ。」すると、その言葉をきっかけに集まっていた人たちは、「確かに、それもそうだ・・・」と、その場は一時解散になったそうです。

「宮さんのおかげで助かった。ありがとう!」と、自然食品店の社長さん。店は潰れて何も残っていないけど、せめてもということで紹介をしてくれたのが「生協」だったそうです。当時はまだ会員数も少なく、今ほどの規模では到底なかったそうですが、生協の会員数増加に伴って、宮醤油も安定供給できる流通経路が育っていくことになります。

木桶で天然醸造方式での醤油造りの現場。いつでもお客様にご覧いただけるように、衛生管理の行き届いた「見せられる場」の維持を徹底をしているそうです。
「理屈でなく美味しいと感じてもらいたい。」このように宮敬一郎社長は力強く語ります。無添加や天然醸造で「安全そう」だから買うというのではなく、「美味しいからこれじゃなくてはだめ!」といっていただけるように。
最近、といっても10年以上前になりますが、増築した蔵に掲げられています。何十年も先に伝えるために。
「諸味の衛生管理が醤油の香りに影響すると思っています。桶の内側もできるだけ綺麗に保っています。」飛び散った諸味をかきおとすのにゴムヘラが大活躍。

いつでも見学を受け入れる蔵

その後、少しずつ注目を浴びるようになってきた自然食系の専門店や生協。しっかりと価値を認めてくれる顧客との繋がりが太くなってくると、「実際に製造現場を見たい!」という声が出てきたそうです。

それまでは外部の人が入ることを想定していなかった蔵の内側。見学の導線づくりや掃除を繰り返しながら、その声に応えていると生協の会員さんが定期的に蔵に見学に訪れるようになります。すると、このスタンスが普通になってきて、今では一年を通して工場見学を受け入れるようになっています。

いつお越しいただいても蔵の中を見せられるように保っていますが、これは自分たちのメリットにもなっています。「見せられる製造現場」の維持は最初は大変でした。でも、慣れてしまえば普通になります。人に見られるという意識が掃除の一つをとっても違いが出てきますから。

4~5月は鯉幟と大きな幟がお客様を出迎えてくれます。空の大桶も駐車場でお出迎え。
宮醤油は、常時蔵見学を受け付けています。
それぞれの工程に掲げられている説明書き。
是非、気軽に訪ねてみてください。ただ、年間を通して見学を受け入れているといっても少人数での製造現場です。事前に電話予約していただくと、しっかりと案内いただけると思います。

千葉県で一番南に位置する醸造蔵

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かずさむらさき丸大豆しょうゆ
江戸末期の天保五年に創業して以来、醤油造り一筋の蔵元です。温暖な気候と良質な水に恵まれ、人工的な温度管理をしない天然醸造・無添加の醤油を製造しています。

価格 : 450円+税
原材料 : 大豆(遺伝子組換でない)、小麦、食塩、アルコール

コクのある超特選醤油はお刺身で

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さしみしょうゆ
刺身をよく引き立てるように、うま味成分が高く溶けこむような造りを、しかも伝統的な木桶仕込みで行なっています。煮物に使うには少しもったいないかもしれません・・・

価格 : 500円+税
原材料 :小麦(アメリカ、カナダ、国産)、脱脂加工大豆、食塩、大豆/アルコール
この蔵元への直接のお問い合わせ
有限会社 宮醤油店
〒293-0058 千葉県富津市佐貫247番地
TEL:0439-66-0003  FAX:0439-66-1615
http://www.miyashoyu.co.jp/