自分の醤油を説明しない、という修行

すっかり定番になっている反省会

木桶醤油のチームで展示会や催事に出た時に定番になっているのが反省会なんです。特に都内で開催される展示会の場合、全国から集まってきた出展者は17時に閉会すると、10分後には誰もいなくなっています。みんな飲食店に流れ込んでいく。大きな会場が一瞬で静寂に包まれる中、私たちだけが円を組んであれこれ話し合います。

その日の人の流れやスタッフの動きを振り返り、翌日に向けてブースのレイアウトを大胆に変更することも日常茶飯事。20代・30代が半数以上のチームなので、かつては意見を出すのをためらっていた若手メンバーたちが、今では経験に裏打ちされた鋭い視点で次々と声を上げてくれる。その姿がすごく頼もしくなってきたのを実感しました。

他の蔵の醤油を紹介することで、変わってくること

もう数年前になりますが、ある蔵人が「自分の醤油の説明をしない方が、お客さんは話を聞いてくれる」と、ふと言いました。確かに、メーカーの人間から「うちの醤油はここが凄いんです!」と言われれば押し売りされるんじゃないかと身構えてしまうもの。ところが、「この醤油は、うちとは正反対の性格で面白いんですよ」と紹介されたら、ちょっと思わず聞いてしまう感覚ってあると思います。

不思議なもので、他者の個性を語れば語るほど、お客さんの方から「ところで、お兄さんの醤油はどれなの?」と興味を持ってくれます。そして、このやりとりを成立させるためには、仲間の醤油についても深く理解をする必要がある。自蔵以外の価値を深堀りすればするほど、巡り巡って「じゃあ、自分の蔵の醤油の個性とは何か?」を問い直す。いわば修行のような循環になっているような気がするんです。

今回のFoodexもこのような光景があって、当然のように1日目のレイアウトと2日目のレイアウトががらっと変わっていました。