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職人醤油ヒストリー(6)売れなくていいから、ひたすら訪問。

売れなくていいから、ひたすら訪問。

複数の蔵元が手掛ける100mlサイズの醤油の販売。なんとなく方向性が定まってきました。140本×8銘柄=1000本ちょっとの商品が手元にやってきました。次は、どう販売をするかですが、落ち着いて考えてみると、たかだか8本の醤油が小さいサイズで並んでいたとして誰が買ってくれるんだろう・・・当時は時間だけはありましたからホームページをつくったものの、何か反応があるわけではありませんでした。

見た人が驚くようなボリュームが必要だと考え、まずは売れなくて構わないから、ひたすら醤油蔵の訪問をしようと決めました。出来上がった100ml醤油を抱えて各地の遠征が始まりました。ちょうどその時、休日限定で高速道路がどれだけ走っても1000円という施策が行われていて、これには助けられました。日曜日の夜に出発して長距離を走り、翌朝に到着して5日間醤油蔵を訪問。金曜日の夕方に帰路について深夜過ぎに帰宅・・・高知県から群馬県まで走っても1000円でした。

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サラリーマン時代は効率が第一だったのでアポイントなしの飛び込み訪問は非効率の典型でした。その感覚で蔵元に電話をかけると、「・・・こんなことを考えていて、インターネットで販売をしたいと・・・」「うち、いらないから!」ガチャン!と電話を切られてしまうのです。後から聞いた話では、ホームページつくりませんか?販売をしませんか?など、インターネットにまつわる電話営業がひっきりなしだったので、反射的にそうなってしまうということだったのですが・・・。

また、綺麗なホームページの醤油蔵は実際に訪問するとイマイチなことがあります。その逆もあって、手作り感満載のホームページの蔵元でも実際に訪問すると感動することが多かったのです。インターネットの情報だけで探すことは難しいと痛感し、結果としてたどりついたのは、地元の人に教えてもらうことでした。その土地の醤油蔵に飛び込んで、その地域の醤油事情を教えてもらうのです。〇〇醤油さん面白いよと聞けば、その場で住所も教えてもらい、その足で訪問をする。非効率と思えたことが一番効率がよかったのです。