醤油の知識

087|再仕込み その後

昨年2月に仕込んだ再仕込み。仕込み時には報告していましたが、その後は何も書いていませんでした。 
2月に仕込んで夏場は予想に反して旺盛に発酵し、夏を越した時点で全窒素2.46%、アルコール2.89%と、なかなか期待できる数字だったのですが‥

味がいまいち…。

要因は塩分。生醤油をそのまま汲み水に使用しているため、 そこに麹が入ると考えると、出来上がりの醤油の塩分は低くなります。

それは分かっていたので、汲み水(生醤油)を増やす事で、塩分が極端に低いという状況を避け、かつ諸味も柔らかくなって多少は溶けやすいかな?という狙いで仕込んでいました。

しかしながら、結果から言うと夏を越えて塩分は13.61%
酸敗などはなく異味・異臭もありませんが、味に締りが無く、美味しくない。


しばらく、これは無かったことにしよう…(笑)  と、放置して(もちろん捨てる気はないので、何か加工用に回すとか、醤油にするならどうやって補正するか…)と考えて、単純にまず塩を足す事にしました。そして、後ひと夏越して搾り、火入れもしっかりめにすると…なんとなく、上手くいくような気がしています(笑)

写真は年明けに補塩した状態。
今は溶けて、味が締って多少まとまった感じがします。

出せるような味に仕上がったら、秋か年末くらいに出荷できればいいなと思っています。 

城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元