木桶とは

④箍を編む

桶のつくりかた④ 箍を編む

桶の周りに巻かれている竹の輪を「箍(たが)」といいます。
箍を編んで桶に叩き入れていくのですが、寸法通りに箍を編むには技術と経験が必要。最初の頃はなかなか思い通りにいきませんでした。

割ってから削ります

まずは竹を割ります。円周5メートルの箍を編むために3倍の15メートルほどの竹が必要となります。この長さの竹を探すのがまず大変。そして、同じ幅でまっすぐに割っていくのが、また難しいものです。

竹は一度割れ始めると、パキパキと割れていきます。小さな切り込みを入れて棒などに押し当てると、どんどん割れていくのですが、割れる軌道が曲がってしまうと修正するのが大変。まっすぐに均等に割り続けるのは本当に難しいのです。

編みやすいように丁寧に削ります

割った竹をさらに削っていきます。刃物を固定して竹を後ろにひっぱりながら削っていくのですが、延々とこの作業を続けなくてはなりません。

1つの箍を編むのに4本の竹を使います。1本の桶をつくるのに7本の箍が必要なので、30本近い竹が必要になり、板を削る作業と同時並行で竹を削る作業を進めておきます。

とても長いので竹を運ぶ時もこのようになります

いよいよ箍を編みます

2本の竹で編んでいき、途中で2本を足して計4本の竹で編んでいきます。長い竹を操りながら編んでいる姿は圧巻。慣れた職人の手にかかると、竹が流れるようにとても柔らかそう見えます。

ところが、実際にやってみると、その違いに愕然とします。竹は堅いし言うことをきいてくれない。力づくで無理やり扱うと、パキッ!っと竹が割れてしまいます。割れてしまったら、全部をほどいてやり直しです。

桶によって、入れる位置によって大きさは異なる

箍の大きさは桶の実寸を測り、それにあわせて編みます。桶によって微妙に円周が異なりますし、同じ桶でも箍の位置によって大木さが異なります。その都度、桶のまわりにメジャーをあてて測定し、竹の状態などを考慮して数センチ大きくするか小さくするかを判断しています。

もう一つ必要なものが芯

これは芯と呼ばれて、箍にはできない細い竹を縄でぐるぐる巻きにしたものです。これを箍の内側に固定することで、桶との密着度を高めて箍のシルエットを保つことができます。捨てる部分がないように有効活用するのが当たり前。師匠からの教えです。

箍の内側に入れます

数センチの違いで編み直しに

芯を入れて桶にはめます。ゆるくない、きつくない。ちょうどの大きさが求められるのですが、5メートルほどの円周に対して2~3センチ違うだけで、はめたときの加減が全く異なります。ちょっとゆるいかな・・・となると、もう一回編み直しです。

皆で芯を巻く

皆で竹を回しながら縄を巻いていきます。掛け声をかけなが盛り上がる作業なのですが、1本の芯をつくるのに500回以上回す必要があります。縄をひたすら巻く作業は地味に大変。「半分きたー!」「あと2メートル!」「終わったー!!!」。大きな歓声。そして、腕がぱんぱんになっています。