醤油の選び方 ― 種類・料理・蔵、3つの切り口

「結局、お刺身に一番おすすめの醤油はどれですか?」

よくいただく質問です。そして、とても答えにくい質問でもあります。一言でお刺身といっても、赤身と白身で相性のよい醤油は違うと感じています。また、甘い醤油で育った九州出身の方と、淡口醤油と濃口醤油の2種類がご家庭にあった関西出身の方、濃口醤油1本ですべてをカバーしている関東出身の方とでは、おいしさの感じ方は異なると思います。

そして、同じ種類の醤油でも蔵が違えば味は違います。とてもたくさんの個性のある醤油ですが、3つの切り口を意識していただくと、ご自身の好みの一本にたどり着きやすくなると感じています。まず、①醤油の種類を知っていただき、②料理とのざっくりとした相性、そして、③蔵元の特徴。以下に順番に解説したいと思います。

① 種類から選ぶ ― まずはこの6種類
② 料理から選ぶ ― ワインの使い分けと同じ
③ 蔵で選ぶ ― 同じ種類の中でも、味は蔵の数だけある

① 種類から選ぶ ― まずはこの6種類

職人醤油では醤油を6種類に分類しています。左から右へ進むほど熟成期間が長くなり、色が濃く、うま味が増していきます。そして、左側の色の淡いものは塩味を感じやすいのですが、これは素材を活かす役回りだからです。「素材がいいから、塩をかけて食べてよ!」と言われるときのイメージです。

中央にある濃口醤油は最も流通量の多い万能タイプ。そして、右側は濃厚タイプです。色が濃くてうま味も強いので、ソースの代わりにかけていただくのもおすすめです。

白醤油   最も淡い琥珀色。小麦が主原料。色をつけずに素材を活かす。
淡口醤油  西日本の定番。出汁と彩りを活かす煮物・お吸い物に。濃口醤油より塩分は高め。
甘口醤油  九州・北陸などの地醤油。土地ごとに甘さが違う。
濃口醤油  流通の8割。万能。だからこそ蔵ごとの違いが出る。
再仕込醤油 醤油で醤油を仕込む。原料も期間も2倍。赤身系の刺身にまず試したい。
溜醤油   大豆が主原料。うま味は最高クラス。照り焼きにきれいな照りが出る。

* もっと詳しく → 醤油の種類
https://s-shoyu.com/knowledge/0301/

② 料理から選ぶ ― ワインの使い分けと同じ

ワインをイメージいただくと分かりやすいかもしれません。魚には白ワイン、肉には赤ワイン、と使い分けるのと同じことが醤油でも当てはまります。淡い醤油は白ワイン、濃い醤油は赤ワイン。そう考えると、食卓での役割が見えてきます。

・白身の刺身、豆腐、素材の味をそのまま → 白醤油・淡口醤油
・煮物・お吸い物で色をつけたくない → 淡口醤油
・何にでも。まず1本なら → 濃口醤油
・赤身の刺身、ステーキ → 再仕込醤油
・照り焼き、煮詰める料理 → 溜醤油
・卵かけごはん、焼きおにぎり → 甘口醤油

* もっと詳しく:醤油はワインの使い分けと似ている
https://s-shoyu.com/knowledge/0322/

③ 蔵で選ぶ ― 同じ種類の中でも、味は蔵の数だけある

最後は蔵です。同じ濃口醤油でも、原材料、仕込む容器、火入れの加減、蔵にすむ微生物で味は変わります。さらには、それぞれの地域に郷土料理があるように、気候や風土、獲れる魚や収穫できる野菜によって、地元で好まれる味わいに長い時間をかけて変化をしています。

職人醤油は全国400軒以上の蔵を歩き、つくり手とコミュニケーションを重ねながら醤油を選んでいます。そこで感じるのは、分析できる数値を超えて『こんな醤油をつくりたいんだ!』というつくり手の意思が、味わいに表れているということです。それぞれの蔵元がどんな考えで醤油をつくっているのかを知り、その視点で選んでいただくのも面白いと思います。

蔵元一覧
https://s-shoyu.com/kuramoto-list/

まずは味比べから

3つの視点での選び方を紹介してきました。ただ、そうは言っても選ぶのは難しい――そんな時は、この組み合わせで実際に味比べをしてみてください。百聞は一見にしかず、ではないですが、味を見ていただくと「これが好き」だったり、卵かけごはんにはこれがいいけど、納豆にはこっちだな、などイメージが広がりやすいと思います。

冒頭の「お刺身に一番おすすめは?」への答えは、赤身なら再仕込醤油or溜醤油、白身なら淡口醤油でまずはお試しいただきたいです。ただ、そこから先は好みです。味比べをしながら醤油の奥深い世界をお楽しみください。

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