鰻は、塗らない。ドボンとつける

愛知の調味料を知り尽くす料理人

愛知の調味料を知り尽くしている料理人といえば、「一灯」の長田勇久さんの名前を挙げずにはいられません。碧南市にお店を構えて、地元の白醤油や味醂はもちろん、武豊町の溜醤油も当然のように使い分ける。一皿の料理の中に、複数の白醤油と複数の溜醤油。これが日常だったりします。

そして、ただ使い分けているだけではなくて、とにかくフットワークが軽い。それぞれの蔵元の現場を知っているのは当然で、生産者とのつながりが深い。というより、生産者からの信頼が分厚い。何かあればお互いに携帯ですぐ電話をしている、そんな不思議な料理人です。

「塗るのではない。ドボンとつける」

そんな長田さんのご実家は、鰻料理でも知られる日本料理「小伴天」。鰻の話題になったときに、愛知の特徴を教えていただきました。まず、溜醤油と三河みりんを使った濃厚な甘辛のタレ。そして、関東のように蒸す工程がなく、炭火で焼く――。

なぜ焼くのか?それは、鰻の水分をしっかり飛ばすため。乾かして、タレにドボン。乾いているから、タレを吸って、身の中まで染み渡るのだそうです。ただ、この製法だと食べるときに箸で切りにくい。「だから『ひつまぶし』って包丁で切ってあるでしょ」と言われ、確かに!と納得をしました。

2026.08.20

愛知県武豊町の溜醤油3本
本文に出てきた武豊町は、蔵元が集まる溜醤油の一大産地です。小麦を使わず大豆と塩だけで仕込むので、とろりと濃く、火を入れると照りが出ます。
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