001│木桶界隈からこんにちわ

はじめまして。

官能評価の仕事をするかたわら、全国各地の木桶仕込みの醸造蔵や木桶づくりの現場を訪ねたり、「木桶のめぐみ」を製作したりしている、「その」です。

木桶界隈では、なぜか「親方」と呼ばれています。その話は、またいつか…

これまで、調味料メーカーや流通業界で、品質管理・官能評価・機器分析に、気づけば10数年携わってきました。でも、分析やテイスティングを重ねるほど、「このおいしさは、どこから来るんだろう」と、その背景が気になり、つくり手の現場へ向かうようになりました。

そして、いつの間にか木桶づくりの現場にも足を運ぶようになっていました。そんな私の「木桶界隈」の様子を、ときどきお届けしていきたいと思います。

100年単位の時間軸の中で

木桶界隈を訪ねていると、木桶仕込みの醤油や味噌のことだけでなく、森や竹林、職人の技、その土地の食文化、そして、それらを未来へつないでいこうとする人たちに出会います。

木桶に使われる吉野杉が育つまでに100年。
木桶になってから、蔵で醤油を醸し続けて100年。

木桶に関わる人たちは、100年前に植えられた木や、100年前につくられた桶と向き合いながら、100年先のことも考えています。

そんな長い時間軸の中で、世代も業種も超えていろいろな人がつながっていく。その交流の面白さも、私が木桶界隈に惹かれる理由のひとつです。

木桶のめぐみ

そんな中で、「私に何ができるんだろう」と思っていたときに生まれたのが、「木桶のめぐみ」です。

木桶に使われる吉野杉や、桶を締める箍に使われる竹。木桶をつくる過程では、すべての材料が木桶になれるわけではありません。

木桶にはなれなかったけれど、長い時間をかけて育ってきた木や竹を、別のかたちで暮らしの中へ届けられないだろうか。

「かわいい」「おもしろい」

大きな木桶をつくることはできないけれど、小さな箍なら編めるかもしれない。

そんなことを考え、木桶の箍には使えない竹を細い竹ひごにして小さい箍を編んで箍のアクセサリーをつくるようになりました。今では、吉野杉シリーズも含めて、木桶の素材を生かしたものたちを「木桶のめぐみ」として届けています。

木桶仕込みの蔵元さんにお土産として置いていただいたり、蔵祭りなどに出展させていただいたりしながら、少しずつ広がっています。最近は、箍あみを一緒にする「たがあみワークショップ」も人気です。

「かわいい」「おもしろい」。そんなところから、木桶のことを知ってもらう小さなきっかけになったらいいな、と思っています。

官能評価と「木桶のめぐみ」

一見、まったくつながりがないように見える二つですが、私の中では共通するところがあります。それは、どちらも「おいしいものを伝える」ためのものだということ。官能評価は、食品がどのようなおいしさを持っているのかを、客観的に、わかりやすく伝えるためのもの。

そして「木桶のめぐみ」は、木桶や、木桶仕込みでつくられるおいしいものの背景を伝えるもの。方法はまったく違いますが、どちらも私にとっては、「おいしい」の向こう側にあるものを誰かに伝えるための手段なのかもしれません。

これから、私が訪ねてきた木桶のこと、その土地で出会った人や食文化のこと、木桶づくりのこと、そして「木桶のめぐみ」から生まれたもののことを、少しずつ書いていきたいと思います。

木桶のめぐみ 
インスタグラムで、木桶のめぐみや木桶界隈の日々の様子をときどきお届けしてます
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