002│7月の初旬、兵庫・剣菱酒造へ。
この日は、奈良・井上本店さんの500Lの味噌用木桶と、千葉・寺田本家さんの酛すり桶がつくられていました。
集まっていたのは、剣菱酒造の職人たち、小豆島の木桶職人、富山の樽職人、そして寺田本家の蔵人。地域も、年代も、仕事もさまざま。ひとつの木桶を囲んで、一緒に手を動かしています。
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木桶づくりの現場を訪ねていて、面白いなと思うことがあります。それは、職人たちが互いの技術をとてもオープンにしていること。
私が企業にいた頃は、技術はあまり外には出さないもの。そして、安定したものをつくるためには、やり方をなるべく変えないもの、という感覚がありました。
でも、ここでは違います。
「こうした方がいいんじゃない?」
「そっちでは普段どういう風にしてる?」
「そのやり方、やってみようか」
誰かのやり方がよければ取り入れる。
年代も業種も関係なく、たのしそうに意見を交わす。

小豆島の木桶職人の技、富山のウイスキー樽づくりの技、剣菱で培われてきた技。
それぞれの職人たちの技術が交わり、木桶づくりも少しずつアップデートされていきます。
今回、寺田本家から蔵人が来ていたのは、酛すり桶のつくり方を学ぶため。
職人さんたちは、自分たちだけがつくれればいいのではなく、蔵の人にも、できる作業はできるようになってほしいと考えています。

棟梁から若手へ。
職人から蔵人へ。
そして、職人から職人へ。
縦にも、横にも、技がつながっていく。
昔からの技を、そのまま残すだけではなく、人から人へ渡しながら、よりよいものにしていく。ここにいると、昔のものを守るだけではない、新しいものへ向かっていくようなワクワクがあります。
伝統が続いていくというのは、こういうことなのかもしれません。


