タイの調味料事情 その2(スーパーマーケット)

一方で、日本の醤油はどのように受け入れられているのでしょうか。まず向かったのは、スーパーです。”Lotus”というタイの一般的なスーパーに行くと、そこにはこんな光景が。

調味料コーナーに「日常調味料」と「日本の調味料」といった形で棲み分けがなされていました。「日本の調味料」コーナーのパネルをタンタさんに英語に翻訳してもらうと、こんなことが書かれているようです。

”Every house have to have these condiments, it’s Japanese style!”
(みなさんの家庭に必要なのはこれらの調味料。ジャパニーズスタイル!)

タイの醤油やナンプラーが「日常調味料」の棚に並ぶ一方で、日本の醤油は「日本の味」として大々的に紹介されています。タイにおける日本の醤油は、日本で言えば輸入オリーブオイルのような立ち位置といったところでしょうか。

“Tops”という輸入品を多く取り揃えているスーパーや、巨大ショッピングモールの高級スーパーに足を運ぶと、さらに多くの日本調味料が。日本の醤油が堂々と棚に並んでます。そこには普通の醤油だけでなく、日本メーカーが手掛ける生醤油や柚子ぽん酢、焼き肉のたれ、ごまだれ、白だし、卵かけごはんの醤油までもが取り扱われていました。

私はここまで多種多様な日本の調味料が並んでいるとは思っておらず、少し驚きました。これはもしかしたら、タイの方々の日本食への関心は私が思っている以上に高いのかもしれません…。

価格は日本製品の方がやはりお高め

”Lotus”のような庶民向けスーパーに行くと、そこにはタイの方々に親しまれている醤油がずらりと並んでいます。タイの方々に馴染みのある醤油ブランド「ヘルシーボーイ」。タイ式の甘口醤油です。こちらの定番商品は、100mlサイズで平均20バーツ(約90円)という価格。手頃なお値段で、タイのパートナーであるタンタさんによると、こちらはどの家庭にもある必需品だそう。

それに対して日本の醤油(キッコーマン)は、の100mlサイズで110バーツ(約500円)ほど。ローカル製品の実に5倍のお値段です。少しお高いスーパーに多くの種類が取り揃えられていることを考えても、タイにおける日本の醤油は、高級品に近い扱いなのかと思われます。では、実際に日本の醤油を口にしたタイの方々はどんな反応をするんでしょうか。

日本の醤油に対する現地の声は様々 (イベント)

NIPPON HAKU BANGKOK 2025にて、職人醤油は試食スペースを設け、60種類以上の醤油用意しました。ありがたいことに、試食スペースのおかげで職人醤油ブースは大勢の人だかり。そこでのお客さんの反応は本当に様々でした。ただ、タイの方々の日本の醤油に対する好き嫌いには、多少なりとも傾向があったように思えます。

タイのみなさん、甘口醬油が大好きなんです。日本でいうところの九州醤油。これが圧倒的に人気な傾向にあったように思えます。考えてみればこれは必然的で、普段から「タイ式甘口醤油」に慣れているタイの方々の舌には、最も馴染んだのだと思います。一番人気は吉村醤油の「こいくち甘露」。

そして面白いのは、濃口醤油に対する反応です。あるお客さんに日本の一般的な濃口醤油として(少しさっぱり系の)森田醤油の「丸大豆生しょうゆ」を試してもらうと、意外な反応が返ってきました。

「辛い、しょっぱい!」

私たちが「まろやか」と感じるような濃口醤油でも、タイの人には刺激的すぎるようです。溜醤油にもなると多くの方は「これは味が強すぎる」と苦手な人が多かった印象。ちなみに森田の「丸大豆生しょうゆ」を食べた方、その次に「こいくち甘露」を差し出したところ、「これはすごくおいしい」と言っておりました(笑)。

日本の醤油はどんな料理に使う?

「日本の醤油は少し特別な存在」と先述しましたが、それでもタンタさんとミンクさんによると、キッコーマンの濃口醤油は多くの家庭(どちらかといえば高所得者や日本食好きな人)が持っているそうです。実際にイベントにも日本の醤油に興味を持ってくれた方が多くいらっしゃいました。では実際にいつ、どういった料理にタイの方々は日本の醤油を使うのでしょうか。タンタさんとミンクさんに聞いてみました。

どうやら「生しょうゆ」とそうでない醤油で使い分ける場合が多いそう。

タンタさん「キッコーマンの生しょうゆは、ディッピング専用」「寿司や刺身につけることが多い」
タンタさん「ペットボトルの普通のキッコーマンは料理用」「炒め物や煮物に使う。例えば、おにぎり、刺身、チャーハン、唐揚げ、親子丼とかね」

また、日本食が好きなタイの方はぽん酢にも親しみがあるそう。イベントでも”Ponzu”という単語でそれが何か分かる方がほとんどでした。タンタさんによると、タイの方は日本でいう「鍋料理」もご家庭でつくることが多く、その際に日本のぽん酢が好きな方は、”Ponzu”を使うそうです。これはプリックナムソム(酢または柑橘類に唐辛子を漬けたもの)など、日頃から親しまれている「酸味」が後押ししているのだろうと感じました。

ちなみに、「ヘルシーボーイ」のようなタイの甘口醤油とナンプラーでも、料理によって多少の使い分けがあるようです。

ミンクさん「タイの甘口醤油は、タイ式の中華料理の味付けや焼き豚などのディッピングに使う」
タンタさん「ナンプラーはタイ料理に使うんだ。スープやヌードル、おかゆなどに。調理の際に使うが、屋台飯のようにその場でかけることもある」

誰もかれもがタンタさんの言ったとおりの使い分けをしているわけではなく、あくまでも“一般的な“使用例ですが、日本の醤油は主に日本食に使われる場合が多いようです。生醤油はディッピング用で、ペットボトルタイプの通常醤油は料理用という使い方の違いがありました。タイの甘口醤油とナンプラーは、どちらもディッピングにも使えば料理にも使います。しかし甘口醤油のほうは中華料理に、ナンプラーはタイ料理に、といったような違いがありました。

2025年

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