100mlの根拠は、5人家族の刺身3回分だった

「このサイズで売るの?」

 職人醤油を始めたころ、小さな醤油をつくりたいと考えていました。でも、どの大きさが適切なのか?東京の近藤醸造さんに相談をすると、ビンの問屋さんを紹介してくれました。

小さいビンを探していると伝えると、サンプル用意していただいたのですが、確か、50ml、80ml、100ml、120ml、150ml、200mlあたりがあったように思います。ただ、ここで問題発生。シルエットというか、形がしっくりこない。なんだかちょっとダサいのです…。

「もっとスタイリッシュなビン、ないですか?」と聞くと、ビンの業界事情を教えてくれました。そもそもビンを製造するためには型が必要。これになかなかお金がかかる。しかも、「製造ラインを稼働させるには何万、何十万本という単位で連続稼働させる必要があるんですよ」と。気軽に新しいデザインは生まれない世界なのだと知りました。

食卓からの逆算

 なんとか許せるデザインを五つほどに絞って、蔵元のもとへ。実物を見せて、このくらいで、と切り出すと、「うち、サンプルで配るときでも360mlだよ。もちろん無料でね。本当にこのサイズで売るの?」と。それでもと食い下がってみると、今度は計算がはじまりました。「5人家族が刺身を食べるとして、3回分はカバーしたいよね。1回5mlとすれば、75mlくらいが最低ラインかな——」。そんなやりとりからスタートした職人醤油だった気がしています。

2026.08.23