012│『たまり』って、たまり醤油のことですか?

直売店の「たまりや」で接客をしているとき。阪神百貨や渋谷ヒカリエの木桶サミットでお客様とお話ししているとき。たまりのお話しをしているはずなのに、会話が噛み合わないことがよくあります。

「美味しいですよねぇ。濃くて、甘くて。」

「旅行に行ってからはまっているんです。」

「地元が九州なんで、たまりじゃないと嫌なんですよ。」

九州などで使われている甘口の醤油のことをおっしゃっていたんです。

ネットショップでも勘違いしてお求めされて「甘くなくて辛い醤油だった。」とクレームをいただいたこともありました。正直なところ「ええ……そんなぁ」って気持ちでした。甘口の醤油なんて一言も書いていないのに。

「たまり醤油」はJASで定義されている醤油の種類のひとつです。東海地方で造られる、大豆を中心につくる醤油が「たまり醤油」。お客様がおっしゃっているのは甘口醤油であることがほとんどです。 

でも、九州では地元のお醤油のことをたまりと呼ぶ文化があるのかもしれません。ややこしいな、困ったなぁと思うこともありますが、こんなに求められている地元の醤油文化があって素敵だなぁと、うらやましくも思っています。

わたしの体感では「たまり醤油」はそれに比べて、地の文化が薄れてしまっているように思います。スーパーでも並んでいるのはほとんど濃口醤油ばかり。たまり醤油を調理に使えることを知らない地元の方もたくさんいらっしゃいます。

イベントでも、催事でも、直売店でも。 たまり醤油の話をするときには、かならず最初に「東海地方の味」であることを話すようにしています。 いつか九州の醤油のように、たまり醤油が東海の醤油だとみなさんに認識してもらえるようになったらいいなぁ。

まずはきちんと説明していくことがたまり屋の責任だと感じています。

2026.08.14