白醤油の産地・碧南で、競合3社が同じブースに並んだ

「碧南の醤油サミットはすごかったよね」

少し前に、愛知県の「一灯」の長田勇久さんが、こう話していました。「醤油サミット」は、醤油の産地が持ち回りで主催する催し。2年に1度ほど開かれて、2016年は、白醤油の産地である愛知県碧南市が舞台でした。

行政が主体で行う催しなのですが、この時は日東醸造、ヤマシン醸造、七福醸造という地元の醤油メーカーが大奮闘。行政ともがっちりタッグを組んで、イベント当日はもちろん、市内の小学校で白醤油の出前授業を行ったり、白醤油や三河みりんを使った特別な学校給食が出せるように働きかけたり。地域に醸造文化を根付かせる取り組みをされていました。

「うちは、他の2社と何が違うのか」

そのPRイベントや催事などで3社が横並びにブースを出す機会があったそうです。白醤油ブースが3つ並ぶ。それまでありそうでなかったことだそうです。

たとえば百貨店などの催事、愛知県として出るなら、白醤油ブースはたいてい1つ。全国の流通量で1%ほどの白醤油です。いずれか1社が代表して出ていくみたいな。同じ地域の同業者でもあるので、一緒にならないよう主催者側の配慮も、当然あったと思います。

ただ、醤油サミットでは3社のブースが、横並びになる。来場者とのやりとりが始まると、隣のブースがどんな話をしているのか、耳に入ってくる。それが衝撃的だったそうです。

自分が普段している話と、そっくり同じ。「そもそも白醤油とは」「なぜ碧南に集まっているのか」など、基本の解説が、いつもの自分のフレーズを一緒だったそうです。

そのお客さんが、次は自分のブースへやってくる。同じ話は、もう繰り返せない――となると、「じゃあ、自分はここで何を話せばいいのだろう」と、頭を高速回転させたそうです。でも、だからこそ、自分たちの本当の独自性が見えてきたよ、と、そんな話を聞いたのが、印象に残っています。

2026.09.08