キーエンス時代の学び② 量が質を生む

「数合わせでいいから、絶対に達成しろ」

キーエンス時代の事業部の責任者の言葉です。以前の日記で、新卒で入社したキーエンスでの学び①として「顧客とは対等」という教えを書きました。今日はその続き。20年以上前の話ですが、いまだに私の中に残っていることです。

プロセス目標という文化

キーエンスの営業には、利益を指す「成果目標」と、そこに至る行動を指す「プロセス目標」の2つがありました。圧倒的にプロセス目標の方が重視されていた印象があります。その内容はとても細かくて、在社日の電話時間はたしか1日145分(今は撤廃されていると風の噂で聞いて、声を出すほど驚きました。でも時代の流れですね…)。訪問件数はもちろん、「こういった属性のお客様に、これぐらいの割合で行きましょう」というところまで。徹底されていたのは、まずボリュームをこなすこと、です。

「売れないだろう」という先入観

月の締日を前に、あと1、2件訪問すればプロセス目標に届く。でも、どうしても訪問先が見当たらない。そんなときがあります。それでも、責任者は「数合わせでいいから行け」と言うのです。

営業も経験を積んでくると、「このお客さんのところへ行っても、絶対に売れない」という先入観が出てきます。でも、そう思うときだからこそ行け、と。

そして、これが面白くて、自分では「良い話にはならない」と決めつけていた訪ねた先から、ひょんなことで良い話が舞い込んでくる。私自身、何度も経験しました。事業部全体でこれをやれば、そこそこの数になっているはず。でも、それ以上に、先入観を取り除くための「数合わせでいいから行け」は、後になって振り返るほど、理にかなった教えだったと感じています。

全国の蔵を400以上訪ねてきたのも、この教えが染みついているからなのかもしれません。行く前は分からない。行ってみると、何かがある。こんなキーエンスでの学びは他にもあるので、また別の機会に。

2026.07.06

「量が質を生む」は、醤油選びも同じかもしれません。数を試すほど、自分の好みがすっと見えてくる。まずは味比べから、ぜひ。