醤油蔵の探し方

「何のためにですか?」

見学をお願いする電話で、そう聞き返されました。職人醤油を始めた2007年頃のことです。インターネットはあっても、スマホはまだない、そんな時代でした。ネット上の情報をつなぎ合わせて、全国の醤油メーカーリストを500件くらい作ってみたものの、どの蔵へ行くべきか決められませんでした。今のようなSNSもないし、ホームページを持っていない蔵元も多かった。メールを送っても返信は来ない。電話をすれば営業と間違えられる。

今と比べると、蔵を訪ねる人が少ない時代でしたから、なぜわざわざ来るのだろう、という反応がふつうだったのだと思います。そこで、結果的に効率的だったのが、突撃訪問でした。当時、明らかに社長さんの趣味で自作しているだろうと思われるホームページが、いくつかありました。そうした蔵に飛び込むと、「お、ホームページを見てくれたんかい」と笑ってくれる。そこから、この地域の醤油の特徴は何か、面白い蔵はどこかと教えてもらって、そのまま数珠つなぎでまわっていきました。

見栄えと中身の、奇妙な逆転

不思議なもので、ホームページがきれいに整っていない蔵ほど、実際に伺ってみると驚かされることが多かったのも面白いところです。理由はたぶん単純で、歴史が長く地元にお客さんが根づいている蔵は、ネットで新しい販路を開く必要がなかった。逆に、売上に陰りのある蔵ほど、費用をかけて立派なページを整えていた、という形なのだと思います。

今はホームページを持たない蔵を探すほうが難しく、あの探し方はもう通用しないと思いますけど——。

2026.08.16

きほんの醤油 6本
https://store.s-shoyu.com/products/kihon6