ミツル醤油の初搾り前日。城さんと岡本さん。

「実際にどうするかは城君が決めなさい」

気づけば13年も前のことでした。2013年2月19日、福岡県にあるミツル醤油の城慶典さんの初搾りの日。城さんから声をかけてもらって、私もその場に伺っていました。

城さんは2010年6月から、職人醤油で「醤油復活の奮闘記」という連載を書いてくれていました。その初搾り。そこに助っ人でかけつけたのが、広島県にある岡本醤油の先代である岡本義弘さんと康史さん、哲也さんの兄弟でした。

前日、現場に集合。この日のために用意された道具が、ちゃんと使えるかもわからない。シミュレーションをしたり、ああでもないこうでもないと話し合ったりしているうちに、気づけばめちゃくちゃ真剣な議論になっていました。

岡本さんが面白いのは、「僕たちは思いついたことは全部言うけれど、実際にどうするかは城君が決めなさい」と言っていたこと。それが実に岡本さんらしかったんです。

「最悪みんなで手で運べばいいんだよ」

そして、当日。まずは、熟成させた諸味を圧搾機の横まで運ぶ作業。ドロドロ状態の諸味をポンプとホースを使って運ぶのですが、本当にポンプが吸ってくれるのか、みんなでドキドキしていました。

そんな時も岡本さんは頼もしくて、「50袋くらいでしょう。最悪みんなで手で運べばいいんだよ、昔の人はそうだったんだから」と言いながらポンプのスイッチを入れました。その後も、色々なことがありながらも、最初の一滴が出てきた時は、やっぱりみんなで感動したのを覚えています。

そして一通り作業が終わりかけていた時、岡本さん兄弟が黙々とホースの洗浄作業をしていました。ホースの中に残った諸味を、長いホースを持ち上げながら、一滴も無駄にしないように外に出していく。その後の洗浄作業もさっと流す程度ではなく、すごく念入りに。岡本さんたちなりの、城さんへのサポートの仕方なんだなと、その光景を眺めていたのを覚えています。

2026.09.18

当時のことをまとめた記事がサイトに残っていますので、ぜひ見てみてください。
https://s-shoyu.com/knowledge/knowledge-10625/