「ちょっとお行儀が悪いんだけどね」と教えてくれた食べ方―あつあつご飯に醤油。

「ちょっとお行儀が悪いんだけどね」

職人醤油を始めてまもないころ、東京の近藤醸造を訪ねました。近藤功さんは、右も左もわからない私を蔵の隅々まで丁寧に案内してくれた方。もう亡くなられてしまいましたが、私にとっては恩人のひとりです。

最初の訪問のとき、どんな醤油の使い方が好きですかと質問をしました。「ちょっとお行儀が悪いんだけどね…」と近藤さんは少し笑いながら、あつあつのご飯に醤油をたらして食べるのが好きなのだと教えてくれました。ご飯の熱で醤油の香りがさらに立つからねと、醤油の特性も一緒に解説をしてくれました。

醤油をつくっている人が、いちばんおいしいと思う食べ方。あれからたくさんの蔵を回りましたが、この答えはとても印象に残っているもののひとつです。

炊きたてに、三種類

大好物醤油といって、醤油に食べ物のイラストを付けたシリーズがあります。その中に、ご飯のイラストを付けたものがあるのですが、店頭でこれを見て「えっ!ご飯にかけるんですか?!」と驚く方が時々います。ご飯に醤油をかけるという発想が、そもそもない人がいる…。

一方で、海外で蔵人が経験する「あるある」のひとつが、外国の方が白いご飯に、超がつくほど大量の醤油をかけているのを見て驚く、という話。何人もの蔵元から同じ話を聞きました。あつあつご飯に醤油。海外での人気の食べ方の一つになっているはずです。

今年も新米の季節になってきました。合わせ方は二つあるように思います。色の淡い淡口醤油は「引くイメージ」、再仕込醤油のような濃厚な醤油は「締めるイメージ」。前者は米の甘さが主役になり、後者は醤油の輪郭が立つ。試すなら、炊きたてご飯に淡口・濃口・再仕込を少量ずつ順番にかけながら試してみてください。まずは海外のようにたくさんかけずに、ごくごく少量を。たちのぼる香りにも注目してみてください。

2026.09.17

醤油ごはん
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