「調理の醤油」と「卓上の醤油」は、タイでは別物だった
「卓上でマギーを使っているよね」
タイの調味料売り場に行くと、魚醤(ナンプラー)の存在感がしっかりとあります。そして、炒め物に欠かせないオイスターソース。タイの味のベースにはこれらの魚介系のベースがあることを実感します。
また、面白いのが「大豆の醤油」でした。調理用(炒める・煮る/クッキング用途)と卓上用(かける/ディッピング用途)が大きく分かれていることでした。
調理用は大きく3つに整理できます。真ん中に万能系があり、その両側に「色の淡い塩味を付ける醤油」と「色が濃い+甘みを付けた醤油」。
卓上用は、「マギー(Maggi)」が圧倒的な定番です。これはそのまま商品名です。地元の醤油メーカーの方に話を伺うと、「半分化学的につくられた調味料で、醤油のようだけど醤油ではない。けど、タイの人は醤油だと思って使っているよ」とのことでした。
実は、調理用の中央にあるゴールデンマウンテンも、同じ立ち位置です。大豆のタンパク質を分解してつくられているもので、現地では、「シーズニングソース」というジャンルで区別されています。
調理用と卓上用は、なぜ分かれているのか
なぜこのように分かれているのか。考えてみると、やはり「油」との関係が大きく影響しているように思います。
もともとタイの伝統的な料理は、トムヤムクンのようにフレッシュなハーブを叩いて香りを立たせ、スープに仕立てたり和えたりしてナンプラーで味を調える、みずみずしいスタイルがベースにあります。そこに中国系の「強い火力と油で一気に炒める」という食文化が入ってきた。ガパオなどがその代表だと思います。
油で調理をするときに必要な醤油には、色味をつける要素や塩味をつける要素が求められる。料理の変化と共に調味料に求められるものが変わってきた、その結果のように感じています。
2026.10.03

