014│フランス行きは、スナックから
木桶醤油を伝えに、現地の食文化を知りに。蔵元3人で10月1日~7日の間、フランスへ渡航してきました。
あれは、新桶が完成した日の夜。
木桶サミットに参加したみなさんとの懇親会が終わった後、木桶職人さんに連れられて地元のスナックへ。無事完成した喜び、達成感、開放感でみんながLOVEマシーン(モーニング娘。)に盛り上がる中、なぜかわたしは埼玉の木桶醤油屋・弓削多さんに今後の目標や方針を真剣に相談していました。たぶん疲れ切っててちょっとおかしかったんだと思います。笑
いろんな話を聞いていただく中で、ふと「今年は弓削多さんがフランスの展示会に出展するらしい」と耳にしていたことを思い出しました。
「弓削多さん、わたしもフランスの展示会に申し込もうと思っているんです!」
すると弓削多さんは「ほんとに?一緒に行こうよ!」と、にこにこ。ご自身が展示会でやりたいことも話してくださいました。
そこでわたしも、なぜフランスへ行きたいと思ったのかを話し始めました。

ここ数年、木桶仕込みのたまり醤油の輸出が増え、海外から蔵見学に来てくださる方も増えてきました。でも、実際にどんな料理に使われ、どう評価されているのか、いまいちつかめないでいました。輸出に本気で向き合うためにも、ちゃんと海外のことを知りたい。展示会で現地の方と交流して、その合間に視察もたくさんしたいんです、と。
すると、弓削多さんから返ってきたのは、
「うーーーん、そうなの。……かなちゃん、それなら展示会はやめときなよ。」
びっくりしました。商談を決める場に、こんな考えの人は行かない方がいいのか……と思ったところに、すぐに言葉を続けてくださいました。
「展示会はほんとに会場に缶詰めだから。視察がしたいなら、別で自分で行ってきなよ。」
えっ。それはもっとハードルが高いな。
「ほら、いまちょうど補助金が出てるの使えるんじゃない?」
あっ、そうか!
さらに弓削多さんは、フランス在住で木桶醤油の海外窓口を担当してくださっているオレガン愛美さんの名前も挙げてくださいました。愛美さんに協力してもらったらどうだろう、と。
そんな思ってもみなかったアイデアを教えてくださったんです。
できるかな。英語も片言にしかしゃべれない、ビジネスで海外に行ったことのないわたしが?
でも、運のいいことに愛美さんもちょうど木桶サミットに参加しに小豆島に来ています。明日会える、はず。明日会える若手の蔵元も巻き込んじゃったらどうだろう。
やれるかどうかの不安と、それを上回るワクワク感と。頭の中をぐるぐる回りながら、疲れてぐっすり寝たような、なかなか寝付けなかったような。

翌朝、サミット会場のヤマロク醤油さんに着いて、真っ先に愛美さんと若手の蔵元を探しました。
「愛美さん、フランスに行きたいです!ね、みなさん一緒に行きません?みんなで木桶醤油を伝えられたら楽しそうじゃないですか?」
そんな話を快く受け入れてくれる仲間たちのおかげで、一気に「あれをしたら楽しそう」「こういうやり方もある?」と現実味を帯びてきました。
それから帰って3週間。補助金の締め切りまでわずかな時間で話を詰め、今回の渡航が決まりました。
補助事業を活用しての渡航です。せっかくいただいた機会を無駄にしないよう、それから半年間、みんなで準備を重ねてきました。

実際に行ってみると、聞いていた情報と同じでも、感じるものは全然違いました。
あの夜、弓削多さんに相談してよかったなぁ。
充実した1週間のことは、また次のコラムで。
2026.10.18
