キーエンスでの学び③:商談後の3つの視点

「商談が終わったら、3つの視点で振り返りをするといいよ」

新卒で配属されたとき、当時の上司からそう言われていました。ひとつは、自分がお客さんを見ている視点。ふたつめは、お客さんが営業マンである自分をどう見ているか、という視点。そして三つめは、天井の蛍光灯のあたりから、お客さんと自分のやりとりを見おろす視点です。

台車に山積みの顕微鏡

20年も前の話なので今の仕組みとは違うと思いますが、当時は必ず実機を客先に持ち込んでいました。デジタル顕微鏡ですから、一式で数十キロ。台車に山積みにして運んでいました。台車づかいのテクニックは、この頃に身につけたものです。実物を見てもらい、ベストデモと呼ばれる、事業部で決まったシナリオに沿った実演をする。1件あたり1時間から1時間半の商談を1日5件、月に40〜45件ほど訪問していたと思います。

最初のうちは、商品説明をこなすだけで精一杯。それでも件数を重ねていくと、少しずつお客さんの顔色を見ながら説明できるようになってきます。そもそも興味を持っているのか、今の話題には反応してくれたな、とか。ふと、お客さんの側から物事が見えるようになってきた。そんな感じがした瞬間がありました。

補助輪が外れたあとの景色

補助輪なしの自転車に乗り始めたとき、最初は転ばないことに一生懸命だったけれど、無意識に乗れるようになったら、急にまわりの景色が見えてきた。あの感覚に近いかもしれません。そして、いま目の前のお客さんはどんな心境で自分の話を聞いているのだろう、と意識しながら商談を重ねていくと、また別の感覚が訪れます。

本屋さんで営業関連の本を探すと、「お客さんの話を聞きましょう」「営業マンは喋らない方がいい」といった内容がずらりと並んでいます。どうして質問をしないといけないのか。その理由が、ようやくすっと腑に落ちた気がしました。

天井からの、三つめの視点。その意味に少し気づけたのは、退職してしばらく経ってからのことでした。

これはまた来週、書いてみようと思います。

2026.07.13

キーエンスでの学び②:量が質を生む
キーエンスでの学び①:顧客とは対等

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どれも同じに見えていたものが、並べて舐め比べた途端に違って見えてくる。あの「ふと見えるようになる」瞬間は、醤油でも起きます。色、香り、味の順に並べて、まずは一度。台所の次の1本を決める手がかりになるはずです。
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