トーストの焼き色と、醤油の香ばしさは同じ反応

メイラード反応

「メイラード反応」という言葉は、蔵の製造工程の説明でも、家庭の調理の解説でも、よく出てきます。アミノカルボニル反応と呼ばれることもあります。最初に出会ったときは、分かるようで分からない。当時の私は、パンが焼けて茶色くなることと醤油づくりに同じ反応が起きているとは、思ってもいませんでした。

キッチンでの褐色

ざっくり言えば、アミノ酸と糖が結びついて起こるさまざまな変化のこと。熱が加わると進みやすく、色は褐色になっていきながら、香ばしい香りの成分が生まれます。トーストの焼き色、焼きとうもろこしの匂い、強火で焼いたステーキの焦げ目。玉ねぎをじっくり炒めて飴色になっていく、あの過程も同じ反応です。

私たちが「おいしそう」と感じている香りの多くは、ここから来ているともいえそうです。以前の日記で、熱々のご飯にまず醤油をかけると香りがふわっと立つ、と書きました。あれもメイラード反応が生み出した香りの恩恵です。

熱を借りない褐変

一方で醤油の場合、この反応は諸味のなかで、火を使わずにゆっくりと進んでいきます。麹菌の酵素によって大豆のたんぱく質が分解されてできたアミノ酸。小麦のでんぷんが分解されてできたブドウ糖。この二つが長い時間をかけて結びつき、醤油ならではの香ばしさが生まれる。

フライパンの上なら数分で終わる変化を、蔵は月単位、年単位でやっている。ただ、急いだものとゆっくり進んだものでは、たどり着く香りが違う気もしています。そのあたりは、もう少し調べてから書こうと思います。

2026.07.22

好物、とうもろこし。(栄醤油醸造・¥540)
焼きとうもろこしのあの香ばしさを、台所で再現するための一本。木桶で一年半熟成させた濃厚な醤油がベースになっています。焦げ目の香りが好きな方の、次の1本に。
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