木桶職人が「もったいない」と言った

「1ミリ変え、2ミリ変え」

小豆島で桶づくりに携わる岡主弘さんは、もともと建具の職人。ものすごく精密な精度を要求される建具の世界から桶づくりに入ったことで、桶の精度が格段に上がった。周囲の職人たちが、口を揃えてそう言います。

岡さんが多く担当するのは底板です。直径2メートルほどの底板。丸に見える木桶の底板ですが、実は正円ではありません。木には縦方向には強く、横方向には弱いという性質があるので、はめ込んだときに収まりが良くなるよう、両サイドに9ミリずつ、合わせて18ミリだけ横に広い楕円形になっています。この18ミリという数値、これも「1ミリ変え、2ミリ変え」と調整を重ねて「ここだ」という今の形に行き着いたとか。

捨てられていた両端の板

岡さんの木桶づくりは、最初はお手伝い程度のつもりだったそうです。そこで奈良県の吉野杉の現場を見て「やっぱり木ってすごい」と感動し、のめり込んでいった。根っこには、木への敬意があるのかもしれません。木の話をしている岡さんはいつも楽しそう。

底板は、長方形の板を何本も連結させて大きな正方形のような形をつくり、そこから丸く切り抜いてつくります。当然、両端には底板に使えない部分が残ります。昔は、その部分は捨てられていました。(焚き火に放り込まれていました…)

でも岡さんからすると「いやいや、もったいないでしょう。こんなに良い木材なんだから」。切り落とされた部分を小物に加工した「木桶のめぐみ」シリーズを手がけています。もともとは「残念杉」という呼ばれ方をしていたのが、「ちょっとイメージが悪いな」というところから、今の名前になったそうです。そのあたりの経緯も、インタビュー動画で語ってもらいました。岡さんの言葉を、ぜひ聞いてみてください。

2026.07.31

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