しょうゆの島は、昔からしょうゆの島ではなかった
「いや、小豆島はすごいですよね」
「……醤油と言えば小豆島。観光客もたくさん来ていて……」と、ある蔵元がつぶやいていました。確かに、小豆島といえば醤油。木桶といえば小豆島。そんな認識が少しずつ広まってきているような気がします。
ただ、20年前は今ほどの認知はなかったように感じています。実際、歴史をさかのぼると、小豆島は地元の人が使う以上の醤油をつくり、島の外へ「輸出」する産地でした。船が物流の主役だった時代、原材料を海運で持ち込み、島で加工して、商品として売っていたわけです。だから島のメーカー同士は競い合うライバルというよりは、みんなで協力して、より効率的に生産できるように取り組んでいたように思います。だからこそ、地元の醤油蔵は、基本的に土曜日と日曜日は休み。観光客を迎える発想は、あまり大きくなかったようにも感じます。
一人、二人への説明の積み重ね
そんな中で、ヤマロク醤油の山本康夫さんは「見学していいですよ」「予約も不要です。当日ふらっと来てくれればいいですよ」という対応をひたすら積み重ねてきました。今でこそ海外の方を含めてたくさんの人が訪れていますが、最初はそうではなかったと思うんです。一人、二人とやってくるお客さんに一生懸命説明をする。感動したお客さんが口コミで広めていく。気づけば、プライベートで来た人がテレビ番組のプロデューサーだったり、海外バイヤーのような人だったり。
今はそこにInstagramでの発信が加わっていますが、山本さんのやっていることの基本は変わっていない気がするんですよね。超がつくほどの地味なことの積み重ね。今この時点だけを見ればすごい話に映りますが、その始まりは本当に地味で、小さなことの積み上げだったのだろうと強く思うのです。
2026.08.01
鶴醤 100ml(ヤマロク醤油・¥648)
海外のお客さんも目指してやってくる、四年熟成の再仕込醤油。濃厚な甘みとうま味がぐっと乗ります。
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