ある蔵人が「自宅では淡口を一番使っている」と言った
「素材がいいから、塩で食べて」
こんな提案を聞いたことはないでしょうか。素材そのものの味を楽しむために、塩をかけてと。柑橘などをかけてという場合もあるかもしれません。素材の力を信じているからこその一言だと思うのですが、私はそこに、淡口醤油を一本置いてみてほしいと思っています。
淡口というと、うま味は少し抑えめで色が淡い。関西の方なら「煮物など素材の彩りを活かせる」「出汁の風味を引き立てる」と、調理用としておすすめをされることが多いと思います。関東ではそもそも使わない、という方も多いかもしれません。でも、私がおすすめしたいのは調理ではなく、かけ醤油としての使い方です。
兵庫県の末廣醤油さんに「淡紫」という商品があります。パッケージには「うすくちかけしょうゆ」と書かれています。社長の末廣さんが飲食店で白身の魚を食べるときに淡口を、という場面から着想したのだそうです。
つくり手が家で使う一本
面白いのはここからです。別の蔵で「淡口をかけ醤油ですすめているんですよ」と話したら、「実は、個人的にその使い方をすごくしているんです」と返ってきました。だったらもっとお客さんに伝えたらいいじゃないですか、と思わず突っ込んでしまいました。
さらに別の蔵。淡口・濃口・再仕込みの3種類を造っていて、出荷量でいえば淡口が一番少ないそうなのですが、社長は「自宅では淡口を一番使っているよ」と。
実はつくり手は知っているけれど、世間に知られていない。この使い方は、そういうものなのかもしれません。私も回転寿司に醤油を持ち込むときは、淡口は必ず一本入れるようにしています。
2026.08.05

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