吉野杉に30年向き合った職人には節が見える
どこに節が隠れているか、素人目には分からない
先日、奈良県吉野町のウッドフェスを訪ねたときに、吉野中央木材の池田隼人さんが案内をしてくれました。「吉野杉」という名前は聞いたことがある方も多いと思いますが、その特徴は「密植多間伐」。通常の3~4倍の密度でぎゅっと植えて、少しずつ間伐を重ねて育てていく手法です。ただ、少しずつといっても木の成長はゆっくりなので、100年、200年のサイクルになる。途方もない取り組みです。

そもそも、よい木材とは何か。「年輪が細かく均一であること。そして、節がないこと」と池田さんは解説してくれます。木も生き物なので、栄養を吸って自らを成長させるのは当たり前。そこをあえて密植して、太陽の当たりにくい過酷な状況をつくる。すると光を求めて、上に上にと伸びていくのだそうです。
枝も同じで、光を求めて枝をつくるのは当たり前のこと。でも、その枝が節の元になります。だから最初のうちは枝打ちをして切り落とし、下のほうの光が当たらない枝は自然と枯れ落ちていく。そうして地面に近い根元ほど枝が出ず、節ができにくくなるそうです。そのため、根元に近い部分は節が少なく、その中でも赤身の部分は高級材になるというわけです。
こういう向きで刃を入れれば
面白いのは、実際に製材して切っていくときです。丸太の外見からはどこに節が隠れているかは素人目にはまったく分かりません。ほんとうに、どこにどんな節が潜んでいるのか見当もつきません。
でも、木と10年、20年、30年と向き合ってきた職人になると、「こういう向きで刃を入れれば良い形で材が取れる」というのが見えてくるそうです。迷いなく刃を入れていきます。職人の技術、奥深いです。
2026.10.17
吉野杉の魅力を探る①:木桶職人が語る良材の条件
https://s-shoyu.com/knowledge/knowledge-10282

